第29話 元おじさん・・・絡まれる?



「いやぁ、済まんなぁ催促したみたいで!」


「いえ、かまいませんよ、ちょうど昼飯にしようと思っていたから」


 おじさんは現在、胡散臭そうなゴツイおじさんことマクリーさん(Bランク)と冒険者ギルドの酒場で昼食を摂る事に成った。

 何でもマクリーさんは新人が入ると冒険者同士のルールや暗黙の了解等のギルドでは教えて貰えない事をエールを奢る事で教えてくれる親切なおじさんだった(まだ30代後半らしいが)。


 酒場の隅の席に移動して対面で席に着く、女給 のお姉さんを呼び注文をする。


「はーい、ご注文は決まったかい、あーまた新人さんに絡んでるのマクリーさんいい加減仕事したらどうなの」

「か、絡んでねぇよ、エール一杯で冒険者のルールーを教えてるだけだよ。

 仕事だってきちんとやってるぜ」

「どうだか、あんまり鵜吞うのみにしたらダメよ、話半分で聞いて置きなさい、ご注文どうぞ」

「はい、分かりました、ではエール1つ、果実水3つ、串焼きセット4つお願いします」

「あら結構食べるのね、エール1つ、果実水3つ、串焼きセット4つね、すぐ持って来るわ」

 そう言って女給のお姉さんは厨房へと向かった。


「チャチャ、ノワ御飯だよ」

 リュックサックでくつろいでいた2匹を呼んだ。

「にゃあ!」「みゃあ!」

 もぞもぞと収納口から出て来ると、おじさんの左右に陣取って座った。


「え?その猫の従魔、2足歩行なのか!」

「そうですよ可愛いでしょう!」

「いや、まあ、可愛いけどよ、こんな事聞くのも良くないんだが従魔契約か」

「ええ、そうですよ」

「そうか、ならよっぽどの馬鹿じゃない限り手は出さないだろう」

「やっぱり、狙われますか?」

「この辺りじゃまず居ないからな、金や権力の在る連中は見栄や面子の為に馬鹿な事するし、金欲しさにやらかす馬鹿もいる、まぁ気を付けな」

 マクリーさんがそう話していると。


「あら可愛い猫ちゃんね!お待ちどおさま、ご注文の品よ、850パル(銅貨8枚、小銅貨5枚)前払いね」

「じゃあ、銅貨9枚でお願いします」

「はい小銅貨5枚のお返しね、まいどさまぁ」


 テーブルに注文の品が届いたのでそれぞれの前に置いた。

「エールと串焼きセットどうぞマクリーさん」

「おっ、良いのか喰ってわりぃなぁ、後な、さんはいらねぇマクリーで良い」

「じゃあこちらも、クロウと呼んでください」

 そう言いながら、それぞれで飲み物のコップを持ち。

「取り敢えず、この出会いに、」


「「カンパイ!!」」「ニャ!」「ミャ!」


 コップを軽く当て合った。


 異世界での初めての料理?一応串焼きも料理だ。

 まず一口、串から肉を引き抜き嚙み締めた、美味しかった、肉の弾力も程よく、塩と微かに隠し味の入った味付けも肉汁と絡み絶妙、侮っていた異世界の串焼きをこんなのビールが飲みたくなるじゃあないか!

 もどかしい、まだやる事が在るから飲めない!だがキンキンに冷えているビールに串焼!

 くっ、ここはチャチャとノワが美味しそうに食べているのを見ながら落ち着こう。

「しっかし器用に、飲み食いするな」

「ふふっ、可愛いでしょ!」

 2匹の食事を見ながら猫自慢をする。


「なら尚更気を付けた方が良いぞ、特に貴族は同じ言葉を喋るが話が通じねえのが沢山居るからな」

「そんなにひどいのか?」

「全部じゃないが、俺が知る限りじゃあ、8人中7人は何を言ってるのか分からなかったな、連中の常識が俺らの常識と噛み合わないのなんの特に令息、令嬢様は親よりたちが悪い、ああっ!思い出しても腹が立つ!」


 それから、マクリーの体験談やちょっとしたルールや気を付ける行動、危なそうな冒険者のタイプ、ダンジョン内での暗黙の了解等知っておいて損の無い情報を得た、その間にエールを4杯追加したが安い情報料だ。


 昼時も過ぎ、十分な情報も得られたのでマクリーにお礼を言い冒険者ギルドをでた。

 別れ際にマクリーが、

「クロウ、また聞きたい事が在ったらエール一杯で教えてやるよ!」

 かなり酔っぱらいながら笑って言っていた。


 面倒見の良い先輩冒険者だったがもう少し見た目と言動をどうにかしないと、初見ではたちの悪い冒険者に見られると思うのだが、・・・それも計算の内なのか。


 ギルドを出て、次の目的地へと足を進めてからしばらく。

「報告します、マスター尾行されています、数は2、色は赤、感情は悪意!」


 *ここからは頭の中での会話です。


「冒険者ギルドからかい、他に反応はある」


「回答します、他の反応無し・・・推測として偵察目的と思われます」


「1人が監視役、1人が連絡役って所かな」


「同意します、冒険者ギルドで確認した敵対反応4つの内の2つです」


「目的は何だろうね?」


「推察します、従魔か、マスターの体が目当てでしょう」


「・・・はぁ?」


「推測します、彼らはゲイです、マスターのお尻を狙っています」


「まてまて、ラヴィ落ち着け、普通に考えて狙いはチャチャとノワだろう」


「・・・獣姦ですか、マニアックなゲイですね」


「まてまてまって、えっ、おかしいよ、いつものラヴィは何処へ行ったの?

 そして何より、何処からの情報なのそれは!」


「回答します、マスターの「ストップ!え、え、ええ!いや無い、そんな性癖無いよ・・・いや待て・・・でもあれは・・〇〇、〇○〇なら有か?」ストレージ内の○ドゥジィン様からの贈り物の中に在りました書物より情報を得ました。

 マスター、〇〇、〇○〇属性も有ったのですね参考にします♡」


「・・・・・・今すぐ燃やそう!」


「回答します、〈破壊不可〉〈破棄不可〉〈投棄不可〉〈上書き不可〉の付与魔法が神器クラスで付与してあります」


「変な所に力を使うなよぉ、女神でしょドゥジィンさん!」


「返信します、中々贈り物の確認をして貰えなかったのでラヴィちゃんに確認してもらったの、ちょっとやり過ぎました、ごめんなさい。

 でも、謝罪はしますが、後悔はしていません(ビシッ)!、以上です」


「・・・本当に落ち着くまで確認しません。と伝えておいて」


「了解しました、返信来ました、落ち着いたら確認してね♡、以上」


「マスター!次の目的地、商業ギルドに到着です」


「何も話がまとまらなかった・・・尾行は保留、商業ギルド優先で進めるぞ。」


「了解しました、尾行組は監視のみ続けます」


 面倒事が内から外からやって来る、商業ギルドは無事に終わるかな?



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