第17話 元おじさん・・・続続引き籠る。



 恥ずかしい思いをしながらも朝食を頂いた。

 メニューは、白米、出汁巻き卵、鮭の切り身の塩焼き、長芋のすりおろし、納豆、白菜の味噌汁、きゅうりの浅漬け、どれも美味しかった。

 異世界で日本の食事、本当にありがたい。


 朝食を終えるとお茶が宙に浮いて運ばれてきた、自分は食後のお茶はぬるめが好きなのだが、しかりと自分好みだった情報の出所はラヴィだろうか?

 気を使って貰い嬉しかったので御礼を言おうとしたが、ある事に気づいた、自分はまだ彼女達の名前を知らない。


「回答します、名前に関してはまだ御座いませんので、マスターが付けて下さい。

 なお、現在のマヨヒガの従業員は3名です。

 他はまだ待機状態です」

「待機状態?」

「回答します、覚醒に必要なMPが足りない為です、それぞれの個体にMPを注ぎ込めば覚醒します。

 ただ、現在のマヨヒガであればこの3名でも最低限機能します」


「そうなんだ、じゃあまずはその3名から名前を付けよう」


 まずは、和服の女の子、たぶん座敷童がモデルなのだろう。

 気になるのは、和服の柄と髪留めの飾り、桜の花がかたどられている。

 安易ではあるが直感に任せて〈さくら〉と命名した。


 続いて、見えない彼女だが、幽霊?精霊?其の手の物をモデルにしているのだと思う、特徴と言えば、ホワイトボードと鈴の音、料理上手にラヴィ情報美人のエロボディー、ここも安易な直感に任せて少し琥鈴こすず〉と命名した。


 それぞれに名前を告げると、さくらは嬉しそうにくるくると回りながらはしゃいでいた。

「さくら うれしいありがと! にぃに♡」


 琥鈴は鈴の音を鳴らしながらホワイトボードが宙を舞っていた、ホワイトボードには『琥鈴、うれしい♡』と大きく書かれていた。


 喜ぶ2名をほっこりしながら眺めつつ残りの1名の事を考えていると。

「回答します、お探しの1名は、マヨヒガの玄関で警備をして居ます」


 ラヴィに教えて貰ったので、朝食のお礼を琥鈴に言ったのち、歯磨きを済ませ、さくら引率の元、玄関へと向かった。


 玄関に向かうと近くにフロントが在り、受付の横には自分の腰ほどの高さのテーブルが置かれていた。

 テーブルの上にはふかふかの座布団が敷かれ、その上でへそ天しながらくつろぐ2本の尻尾をもつ、オス玉有の三毛猫が寝ていた。


「彼がマヨヒガの警備番頭です」


 そう、ラヴィが告げると閉じていた眼を若干開き、尻尾を上げたのち振って元に戻した、彼なりの挨拶なのだろう。


 実にふてぶてしいかわいいが猫とはそういうモノなので問題無い。

 間違い無く、猫又がモデルだろう名前はやはり直感で〈番さん〉と命名した。

 番さんに名前を告げると了解したと尻尾を振った。


 撫でたかったが、仕事中なので控えた、手持ち無沙汰だたので桜の頭を撫でると喜ばれた。


 その後は、ラヴィの説明とさくらの案内でマヨヒガの中を探索し午前中を過ごした。

 お昼食は白米とたっぷり牛肉うどんだった、出汁が効いていて美味しかった。


 午後からは、いよいよ従魔珠じゅうまじゅの開放をする為、中庭の庭園に来た。


「マスター、従魔珠じゅうまじゅを持ち、開放を念じてから放って下さい」

 ラヴィに言われた通り従魔珠じゅうまじゅを持ち、開放を念じてから手前に放り投げた。


 すると従魔珠じゅうまじゅは光を放ち球状の魔法陣となった、魔法陣は徐々に大きくなり一定の大きさに成ると消滅し、そこに現れたのは2本足で立っているネコだった。


 ネコだ、間違いなくネコだ!骨格が若干4足歩行のねこと違うが2足歩行が前提なのだから些細な事だろう。


 2匹はこちらをじ~と見ている、ハッとする!


 いかん目線が高い、ゆっくりと屈み目線の高さを合わせる、目線を合わせ過ぎるのは好くないがこの際しょうがない、1匹に対しそ~と人差し指を鼻先に向ける。


 差し出された指先をふんふんと臭いを嗅ぎ、指先をペロっと舐めた。


 そちらに気を取られていると、ドン!っと体に衝撃が伝わる、もう片方が頭から突っ込んで来たのだ、それぞれの懐かしい行動に思わず頬が緩む。


「おかえり、チャチャ! ノワ!」


「にゃぁ!」 「みゃぁ!」


「マスター、従魔の開放及び命名が終了しました。

 ステータスの確認をしてください」


「え~、もう少し戯れてからじゃあ、だめ?」

 2匹を撫で回しながら聞いた。


「回答します、駄目です、この後スキルの確認等色々と予定が在ります」

 名残惜しいが仕方が無い。


「了解した、まずはチャチャから始める」

 そう言って、チャチャを見ると。


「にゃ!」

 片手を上げ返事をした。


 現在のチャチャだが、全長約70㎝、2足歩行に適した骨格をしている。

 短毛種で茶トラ、チャームポイントは短い尻尾ピコピコ動いてかわいい。

 そして、これが現在のステータス


__________________________


[ ]は契約者と本人のみ閲覧可能


【氏 名】 チャチャ


【種 族】 猫獣族 [異世界猫]


【年 齢】 0歳 [肉体年齢は3年目になっている]


【性 別】 ♂


【状 態】 正常 


職 業ジョブ】 猫の狩人 


【レベル】 1


[愛と境界の女神ドゥジィンと日本の管理者神々によって本来の猫獣族とは別物の能力を有している。]


【心体力】( )は種族補正数値 精神・速度・器用 各20% 端数切上


H  P:130/130


M P:170/170


S P:264/264


筋 力:30:30


攻撃力:30


体 力:35:35


防御力:35


知 力:25:25


精 神:50+(10):60


速 度:60+(12):72


器 用:50+(10):60


魅 力:40:40


幸 運:50:50


【スキル】


ユニークスキル

・ねこのちーと術:LvMax


戦技スキル

・猫の戦闘術:Lv5 ・猫の立体起動:Lv3


魔法スキル

・猫の魔法術:Lv3 ・猫の魔力操作:Lv5


耐性スキル

・猫の耐性術:Lv3


専門スキル

・万能補助:Lv3


一般スキル

愛嬌あいきょう:Lv3

・猫の生存術:Lv3

・猫のネットワーク:Lv3


特殊スキル

・鑑定:Lv3 ・看破:Lv3

・アイテムBox:Lv1

・言語理解:Lv3


【加護・祝福】

・愛と境界の女神ドゥジィンの加護


【契 約】 

・クロウ・クローバー:従魔契約


___________________________


 思う所は在るが、次はノワに行こう、こちらも短毛種で全体が黒色で、口元から首前胸元と両手足の先と尻尾の先が白色、チャームポイントはスラッとした尻尾。

 チャチャと比べると全長は同じだが、少し細身の美猫さん。

「じゃあ、ノワ良いかい」

 ノワに聞くと、同じく片手を上げ返事をした。

「みゃ!」

 ステータスはこんな感じ。


 __________________________


[ ]は契約者と本人のみ閲覧可能


【氏 名】 ノワ


【種 族】 猫獣族 [異世界猫]


【年 齢】 0歳 [肉体年齢は3年目になっている]


【性 別】 ♀


【状 態】 正常 


職 業ジョブ】 猫の術士 


【レベル】 1


[愛と境界の女神ドゥジィンと日本の管理者神々によって本来の猫獣族とは別物の能力を有している。]


【心体力】( )は種族補正数値 精神・速度・器用 各20% 端数切上


H  P:110/110


M P:204/204


S P:264/264


筋 力:25:25


攻撃力:25


体 力:30:30


防御力:30


知 力:30:30


精 神:60+(12):72


速 度:50+(10):60


器 用:60+(12):72


魅 力:50:50


幸 運:50:50


【スキル】


ユニークスキル

・ねこのちーと術:LvMax


戦技スキル

・猫の戦闘術:Lv3 ・猫の立体起動:Lv3


魔法スキル

・猫の魔法術:Lv5 ・猫の魔力操作:Lv5


耐性スキル

・猫の耐性術:Lv3


専門スキル

・万能補助:Lv3


一般スキル

愛嬌あいきょう:Lv3

・猫の生存術:Lv3

・猫のネットワーク:Lv3


特殊スキル

・鑑定:Lv3 ・看破:Lv3

・アイテムBox:Lv1

・言語理解:Lv3


【加護・祝福】

・愛と境界の女神ドゥジィンの加護


【契 約】 

・クロウ・クローバー:従魔契約


 __________________________


 おじさんの強化前よりずっと強い、しかもドゥジィンさんここでも何かしているし。


「回答します、マスターの知り合いだったのでちょっと張り切ったそうです」

 張り切ったらしい。

「そっかぁ、ありがとうございます、と伝えておいて」

 でも助かったので御礼を伝えた。

「了解しました、・・・どう致しまして、だそうです」

 返事はやっ!


「・・・よし!気を取り直して、2匹のステータス確認はこれで良しとして、スキルは猫独特のスキルと言う事で良いのかな?」

「回答します、猫達にとって都合良く使い易い調整をされたスキルです。

 ユニークスキルについてですが、短時間発動でマスターの前の世界で云う所の御都合主義が発動するそうです」

 なんか頭痛くなってきた、あれか、ギャグマンガみたいな事が起こるのか?

「回答します、所持者個人限定ですがその認識で合っています」


「それって大丈夫なのか?何かを歪めたり、亀裂が入ったり、世界に悪影響が出たりしないよな?」

「回答します、この程度なら問題ないそうです、バンバン使っちゃえ!との事です」


 ・・・やっぱり連絡取り合っているよね、割と簡単に。

「回答を拒否します、・・・これで従魔に関する大まかな確認を終了します」


 次の確認は、新しいユニークスキルとストレージに統合されている、シルバーBoxとガチャかな、おかしなモノで無ければ良いけども、おじさん心配だなぁ。

 


 

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