第16話 元おじさん・・・続引き籠る。



 おはようございます。

 目覚めたら、そこは白い空間でした。

 神託の間に似ているが別の場所だと解る、理解できる。

 そして、明らかに異質なモノが2つ在る。

 1つはいまは無視で良い。

 そしてもう1つは、少し前まで馴染みが在ったモノ。

 そう、こたつだ!

 そして、そこで1人くつろいでみかんを食べている。


「おーい、そんな所に突っ立ていないで一緒に食べようぜぇ」

 手招きしながら自分を呼ぶ・・・たぶん自分自身。

 誘われたので、こたつに入りみかんを食べた、甘くておいしい。


「ドゥジィンさんのこたつを参考に作ってみたんだが、中々良いなこれ」

「並列思考の自分だよな?」

「そうだ、特に拗らせていた時期の自分をベースにしている」

 おぅ、なんてこった。


「そう悲観するなよ、魔法やスキルはこの時期の自分の方が上手く使える」

「ああ、中学生の時からで無く、小学生の時から拗らせていたからな、独り遊びの妄想が捗る捗る」

「まぁ、おかげでオレの人格形成も早かったしな!」

「人格はともかく、その姿は・・・ドゥジィンさんがベースか?」

「たぶんそうだろう、自分では見えていないだろうが、同じ顔だ」

「ドゥジィンさんをベースに均等に整えたんだな、目立たない様に頼んだと思ったんだが」

「今更だが、均等に整えると美形になるらしいぞ、何処かで聞いたか読んだ気がする」

「自分も今思い出した、迂闊だったが、ドゥジィンさんはその辺も織り込み済みだったんだろうな、思い当たる節が在る」

 

「まぁ、過ぎた事はもう良いとして、それよりもどうだこの空間、〈スキル:明晰夢〉を中核に形成した、オレ達の空間!」

いじれるのか?」

「もちろん、好きな様にコーディネートが出来る」

「他からの介入は?」

「ダミーを幾つも用意して在るから直接此処へは来る事は出来ない、それが出来るのは、オレ達自身だけだ」

「ラヴィはどうだ?」

「ラヴィは一部で有って自身では無いから問題無い、だから精神だけとは言え、自分の思い道理の場所が創れる、独り部屋良い響きだ!」

 

「パーフェクトだオレ」

「感謝の極み」


「さて、一通りのネタをやった事だし。

 改めて名乗ろう、オレの名は、エターナル・ロード!以後よろしく」

 

「よろしく、エタロー」

「よろしくな、クロクロ」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×2


「なぁエタロー、アレってもしかしなくても」

「そうだクロクロ、〈スキル:ナビゲーション特盛・敏腕秘書仕様〉のスキルレベルがアップしたからな。

 中に在る、〈スキル:並列思考〉もレベルアップしたんだ」

 

 そう、先程まで無視していた存在、もう一人の自分が縦に伸びる光の柱の中に浮いている・・・。


「これって、アレの影響か?でも一度も使っていないぞ、怖くて!」

「たぶんそうだろうが、もしかするとアッチの影響も受けているかもしれない」

「ドゥジィンさんも関係してるよな、勧めていたし」

「間違い無いだろう、ドゥジィンさんだし」

 ・・・・・・・・・・・・・・・×2


「「しかし、自分自身とはいえ絶景だなぁ、デカいし!はえてない!」」


 女の子が浮いていた!全裸で!


「でもこれって、中身おじさんに成るんだよな?」

「いや多分だが、人間誰しも大なり小なり男性因子と女性因子が在るって聞いた事があるから、そこから女性因子を集めて人格形成するんじゃないか、下手すると自分の理想すら盛り込むかも知れないけど無意識に・・・」

「業が深いな人って・・・」

「ああ、そうだな・・・」


「目覚めるまで少し掛るだろう、機能としては発動すると思うが無理する必要も無いし、そのままで良いだろう。

 オレの方でも、異常が出ない様にチェックしておくから任せておけ」


「了解、任せた後は頼む、自分はそろそろ目を覚ますよ」


「ああ、いってら!」

「おう、行って来る!」




 ・・・・・・・・・・・!

 目が覚めた・・・体には痛みが無い・・・足は動く・・・腕は、左良し、右?重い?・・・右腕付近の布団が盛り上がっている!

 そっと、布団を剥ぐった・・・?

 おんなのこが、うでにだきついている?・・・ゆめ・・・ねぼけてる?


「回答します、夢でも寝惚けてもいません現実です。

 そろそろ起きなさい、マスターは起きましたよ」

 ラヴィにうながされて彼女は目元を擦りながら起き上がった。

 自分と目が合うとうれしそうな顔であいさつをした。

「おはよぉ!」

 挨拶をしている感情が伝わる。

「おはよう」

 挨拶を返すと。

「にひぃ!」

 嬉しそうに笑った・・・かわいい!

 改めて見ると年の頃は6~7歳、黒髪、黒目、おかっぱヘアー、おめめはくりっとしていて可愛らしい、服装は丈が短めの動き易そうな和服、思わず頭を撫でた。

「むふぅ!」

 嬉しそうに笑った。


「マスター、いつまでも撫でていないで、顔を洗いに行ってください。

 マスターを洗面所まで案内して下さい」

 ラヴィが女の子に案内を頼むと、彼女は元気に返事をした。

「は~い!」

 そうして、自分の手を引き洗面所まで連れ行ってくれた。


 その後、顔を洗い食堂まで手を引かれ、到着すると、彼女はこちらを向き両手を広げ、ここが食堂ですと伝わって来たので頭を撫でながらお礼を言った。

「ありがとう、助かったよ」

 すると嬉しそうに返事をした。

「えへぇ!」


 食堂は、清潔感が在り広いスペースだ、内装は木造だが艶がありただの木材でない様に思える。

 テーブルは対面4人掛けがほとんどで、奥にお座敷が見える。

 カウンター席も在り奥には厨房が見え、厨房の出入り口の横にはホワイトボードが掛けて在った。

 ふと、ホワイトボードが気になり視線を向けると『おはようございます。良く眠れましたか。』と書かれていた。

「マスター、彼女がマヨヒガの厨房担当及び雑務担当です」

と紹介されたがどこにも見当たらない、感知系スキルでも反応が無い、すると。

 

 りーん ちりん と綺麗な鈴の音が聞こえた。


「彼女はシャイで恥ずかしがり屋ですので、普段は霊体化しています、隠密系のスキルレベルも高い為、今のマスターでは感知できません。

 存在を示す時は鈴を鳴らします」

 ん?えっ?

「じゃあ、どうやって仕事するの?」

「回答します、強力な念動力が使用できますので、同時に多数の仕事が出来、とても優秀です」

 するとホワイトボードに『ありがとうございます。ラヴィさん。』と書かれていた。

「事実を伝えただけです、実際マスターが倒れた際も普段しない実体化をして、献身的にマスターの看護をしていました」

「そうだったのか、ありがとう・・・え?彼女が自分を洗ってくれたの?」


「回答します、彼女が実体化し、マスターの全身を隈なく洗い、抱き抱えながら温泉に浸かり温め、その後はオイルマッサージを駆使してマスターの溜まっていたモノ疲れを抜き採り、スッキリした状態で寝室に運びました。

 なおこれらは、マスターの為の医療行為です。

 マスターは極度の疲労状態でしたので負担が無い様に一線は越えた施術はしておりませんのでご安心下さい」

 ああっ!昨日の説明はこれか、確かにスッキリしたけども頭が全然働かないから聞き逃していたぁ、全部見られたぁ!


 恥ずかしい気持ちも在り、首をギギギとホワイトボードへ向けると。

 『すごかったです♡』と小さめの文字で書かれていた。

 思わずナニがと聞かなかった自分を褒めたい。


「回答します、「回答しなくて良いから!」・・・了解しました。

 因みにですが、実体化した彼女は20代美人のエロボディーです。

 良かったですね、マスター」


 気絶していたから何も覚えていません!

 

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