22日目
やはり世界は終わっていたらしい。
懸念していたインフラは何故かまだ生きているが、それよりも先に人がダメになりそうだ。
最初の被害が出てから2週間後に発生した被害は大規模なものだった。
どこの誰が調査したのかは知らないが、そのときの集団の規模の基準は10人程度だったらしい。
結果、今ではほとんどの機関が機能不全に陥っており、ほとんどの人が家に引きこもっている状態だ。
そんな中、恐ろしい仮説がインターネット上に流れるようになった。
それは、“異形化する条件の人数が1週間ごとに1桁ずつ減少する”というものだ。
曰く、最初の被害の条件が1000人、次の週が100人、その翌週が10人というものだ。
つまり、その仮説を信じるのであれば最初の被害から3週間経過し、4週目に入った今日からは異形化する条件が1人となるということである。
なんとも恐ろしい話だ。
そしてその仮説を裏付けるように、しぶとく放送を続けていたニュース番組でキャスターが異形化するという事件が先ほど発生した。
昨日までは特に問題なく放送できていたので、今日になって異形化の条件が更新されたのは確かなようだ。
他にもこの仮説を裏付けるような情報がインターネット上に流れている。
家で引きこもっていたはずの隣の一家が異形化したという話だ。
しかも、そのような話は1つや2つではない。
国内外を問わず、様々な場所からかなりの数の情報が発信されている。
そんな中、決定的な情報も出てきていたりする。
曰く、同棲中のカップルの部屋から異形化した彼女が出てきたというものだ。
発信主によると、そのカップルは2人きりで引きこもっていたそうなので、その情報が真実であれば、2人きり――相手が1人の状況でも異形化するということになる。
つまり、他の誰かに出会っただけでどちらかが異形化するような世界になってしまったということだ。
最初の被害が出た直後に流れていた言葉を思い出す。
“天罰”
“神からの試練”
“異星人、異世界人の侵略”
結局、どれが正しかったのかはわからない。
ただ、これが人間を滅ぼすための現象であることは間違いないと思う。
最初の被害が出て以降、人間以外に被害が出ていないのだから。
異形化の条件が1人となってしまった以上、もはや人間が数を取り戻すことは不可能だろう。
仮にこの現象が今日終息したとしても無理かもしれない。
いや、人間は何だかんだしぶとそうだから終息すれば何とかなるのだろうか?
……まあ、仮定の話だ。
恐らくはこのまま異形化の現象は続いて人間は滅ぶのだろう、何者かの目論見通りに。
さて、この終わる世界でこれからどうしようか。
終わる世界 はぐれうさぎ @stray_rabbit
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