2日目
世界各地で発生した暴動のニュースが飛び込んできてから一晩経った。
昨日は
相変わらず、テレビやインターネット上が昨日の暴動のニュースであふれかえっている。
ただまあ、一晩経ったことでこの暴動というか異形化の条件のようなものが判明したらしい。
“人が大勢集まる場所で異形化が発生する”
なんというか、かなりざっくりしたあいまいなものだが、これが判明した条件らしい。
詳細な人数なんかはいまだに判明していないが、各種SNSを中心に集団で行動することを避けろというメッセージが飛び交っていた。
この条件は、被害が発生した場所や状況を調べたときにぼんやりと見えてきたものらしい。
なぜなら、被害が発生したのは人の多く集まる主要駅や学校、規模の大きなイベント会場であったりしたからだ。
他にも人の多く集まる大企業のビルや大型デパートなんかでも発生したらしいが、人数だけでなく密度も関係しているのか、似たような場所でも暴動が発生した場所と発生しなかった場所があったらしい。
それらに加え、条件を確定させた出来事がある。
当たり前の話だが、昨日の暴動の発生を受けて各国で暴動を鎮圧するために治安部隊が対応に当たっている。
異形化した人外の怪物が相手ということもあって、一部の国では軍に大規模な召集をかけて数に飽かせた作戦を実行しようとしたらしい。
結果、それが災いした。
条件が判明した今であれば事前に避けられたのだろうが、鎮圧のために召集された部隊に一定の人数が集まった時点で異形化が発生したのだ。
別の場所に召集されて異形化したケースはまだマシだった。
いくつかのケースでは、複数の部隊が暴動の被害のあった場所に合流したときに異形化が発生してしまったのだ。
このケースの被害はひどかったらしい。
そもそも異形化が発生するほど鎮圧部隊の数が必要な場所というのは、最初の暴動の被害が大きかった場所ということだ。
そんな場所で、暴動の鎮圧に来たはずの人たちが異形化するという二次災害が発生する。
それがもたらす被害を想像するのは難しくない。
実際、これが起きた場所の多くで最初の被害者、および鎮圧部隊がほぼ全滅するという痛ましい結果となってしまっている。
そのような経緯から判明した条件が発表されたことにより、人々はこの現象が落ち着くまで集団での行動を禁じられてしまった。
無事だった学校や企業などでは休校なり休業なりが発表されている。
ただ、そんな中でも各自治体の職員や政府関係者は人数を絞って活動しているらしい。
まあ、政府関係者なんかが全く集まることができないというのでは対策の講じようもないだろうし、仕方ないのだろう。
もしかしたらオンラインの会議なんかで済ませたりしているのかもしれないが。
どちらにせよ、しばらくは人と関わることのない生活を送る必要がありそうだ。
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