終わる世界

はぐれうさぎ

1日目

 どうやら世界は終わってしまったらしい。

 “世界の終わり”

 そんな言葉がテレビや各種SNS、インターネット上で飛び交っている。


 正直、“世界の終わり”かどうかはわからないが、それを連想させる何かが起きているのは確かだ。

 今も点けっぱなしにしているテレビから、世界各地で発生した暴動の様子が次々に伝えられている。


 単に暴動が起きただけであれば“世界の終わり”なんていう言葉は出てこない。

 実際、世界中の各地で暴動が同時に発生したといっても、それだけであれば性質タチの悪いテロとして認識されたはずだ。

 だが、そうなっていない理由はニュースの映像を見ればわかる。

 暴動を起こしている人、もはや人と呼んでいいのかわからないが、その人たちが異形の怪物と化していたからだ。


 顔を大きく変質させ、大きく裂けた口から鋭い牙を覗かせ周りの人々に襲い掛かる怪物。

 腕から骨が飛び出し、鋭い切れ味を持つ刃物のように変質したそれを振り回す怪物。

 自分自身の肉体を溶かしながら、その溶けた肉というか体液をまき散らして周囲の人々をも溶かしていく怪物。

 複数の人間が融合した巨大な肉塊になりながら、大量の腕を伸ばしてさらに周囲の人々を取り込もうとする怪物。

 他にも、手足が異常なくらいに肥大化して超人的な怪力をもって暴れる怪物や、銃で撃たれたり刃物で刺されても傷口がうごめきながら再生して異常な回復力をもって暴れ続ける怪物などが確認されている。



 映像で見るだけであれば出来の悪い三流ホラーだが、実際にその場にいればそこは地獄だろう。

 “世界の終わり”

 その言葉にふさわしい光景が世界各地で繰り広げられているらしい。

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