第13話 判決と執行

「判決を言い渡す。被告人を死刑とする」


 バタバタと7人のSPがやってきて、取り囲んできた。死刑って言われて暴れる人もいるのかもしれないし、当然か。とはいえ先日とは少し様子が違う。何人かはこちらを向いたり同じ方向を見ているのだが、何人かはこちらに背を向けて立っている。


「死刑の方法は、老衰とする。従って老衰を待たずして死ぬ事は許されない。刑は即時執行、既に老衰による死刑は執行されている」


 なんだかわからないが、どうやら異例の事態らしい。検察も弁護人も戸惑っているし、直立不動の兵士たちも驚きを隠しきれていない。


「SP諸君は、この者をMIP、Most Important Personnel、つまり最重要人物として警護に当たってもらいたい。この件については警護部長官をはじめ、各組織にはおって通達がある。MIPは本日は来賓室に宿泊するように。検察及び弁護人に限り、面会を認める」

「今後、万一MIPが治療困難な病気に罹患したり怪我を負ったりした際には国内に留まらず国際医師団を要請する方向で話が進んでいる。また、内外乱つまり内戦や外国との戦争が起こった際には各国に特殊部隊を始めとした軍の派遣も要請することになる。これはこの国の恥と心得よ。では王様、一言お願いします」


「MIPは、たゆまゆ努力と献身的な世界最高の獣医療で王犬の世話をしていたことは十分に伝わっておる。ここに感謝の意を表明する」

「何人たりともこの者を死なせてはならない、この国の威信にかけて。そのためならいかなる犠牲をも厭うことなく守りきるべし」


「ではこれにて本軍法会議を閉会とする。閉会と同時にMIPの軍司法部二等兵の任を解き、一般人となる。閉会!」ガンガン!


 死刑判決は想定内だったが、老衰で死なされることになるとは思わなかった。一体どういった暮らしになるのかわからないが、SPに守られ続ける日々であろうことは想像に難くない。SPとともに、来賓室へと向かった。


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