第5話
「悪霊を降誕させるですって!?」
「ああ。単純だが効果的だ」
シデンの言う事が突飛すぎて、頭が追いつかない。一体何から聞けば良いものか。
「とりあえず、順番に説明しよう」
そんな私の表情を察してか、彼は細かい説明を始める。
「どの人間の先祖にも、必ず悪霊はいる。無念にも亡くなってしまった人なんて歴史を辿ればたくさんいるからね」
それは、理解できる。志半ばに亡くなった人の魂は悪霊となり、この世を彷徨うって。
「だけれど、普通はその悪霊たちの影響は受けない。僕らには皆守護霊がついているからだ」
守護霊とは、先祖の魂が自分を守ってくれているっていう、あれのことだろうか?
「だから少なくとも僕らは、悪霊の影響によって苦しめられたり、命を落としてしまうことは基本的にないんだ」
「…なるほどね」
正直、疑問も疑念もあるけれど、とりあえずは受け入れることにする。どうせ聞き返して返事をもらったって、私には理解できないだろうし…
「それで、どうするの?」
最初、悪霊がどうのこうのって言ってたけど。
「やる事はシンプルだ。彼女に悪霊を降誕させ、同時に彼女についてる守護霊を引き剥がす」
…なるほど。そうすれば悪霊の力が必中のなるのか。
「…できるの?」
「こればっかりは前例なんてないし、やってみないことには…」
「なんでもいいわ。やってちょうだい。私も、なんでも協力するから」
私の意思は固かった。例え代償に寿命を引き出せと言われても、即答で応じる覚悟はあった。
しかし方法の説明が終わったところで、、そもそもの疑問が私にはあった。
「…それで、悪霊を降誕させたら彼女には何が起こるの?」
シデンは一瞬沈黙し、重々しく口を開いた。
「…確かなことは分からないが、きっと、死んだ方がマシとさえ思える日々が、彼女を待っている事だろう…」
悪どく病弱を演じるクソ女には、丁度いい罰じゃない。これまで私たちがどれだけ振り回されてきたか、その身を持って思い知るがいいわ。
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