タッセル
ポストを開けると一通の手紙が入っていた。最近、南の方へ引っ越した妹からのものだった。
「急いで送ってほしいものがある」と書かれていたが、そこから先は文字が滲んでいて読めない。
ベッド、ソファ、カーテン、お気に入りのぬいぐるみに古道具屋で買ったオルゴール……大事なものは忘れずに持っていったはずだった。
もう一度文面に目を凝らすと、なんとか"タッセ……”とだけ続きが読めた。タッセ……タッセル……房飾りか。いや、それも一緒に持っていったはずだが……。
貨物船は無事に到着しただろうか。そんな心配をしていると、妹からの小包が届いた。
中に入っていたフィルムを廻すと、ペンギンと共に夜空を眺める妹の姿が壁に映った。
そして、その視線の先にはオーロラのカーテンが束ねられたため、よりハッキリと見える逆様のオリオンがあった。
(了)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます