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1日待ったが、返信はなかった。
待っている間に、マッキーに昨日メモした幽霊部員の名前と昨年のクラスを教えて調べてもらっているのだが、マッキーからの返信もない。
テスト最終日。明日は闇市がある。来週末には生徒会会議だ。
七倉との取引は完了したから、目下の厄介事は解消された。彼にも連絡したし、闇市に向けて準備は万端だ。
あとは、勧誘。残り3名。忘れそうだったけど、強奪犯への制裁。で。1番重要なのは泉くんの特技発見か。美樹からはなんの報告もないし、泉くんは相変わらず学校生活を満喫しているようだし。彼いわく、好奇の目に遠回しに見られながら、らしいけど。
「明日香」
呼び止めた背中には、青い飛脚部バッグがあった。
「大久保さん! ちょうど良かったです! お渡ししたいものがありまして」
インラインを滑らせながら風を切り近づいてくる明日香に、嫌な予感がよぎる。
「こちらです」
差し出されたのは、茶封筒だった。手にして見ると、ずっしりとした重さがある。どうやら、例のノートの売上金のようだ。
「コレね」
「はい。あ、この前の物は、無事に届け完了しました」
「そう、ありがとう」
明日香のことは疑ってはいなかったけど。受け取ってくれたようで安心した。
「分かったと仰ってましたよ。まだ、仕組みを理解されてないようで、少し戸惑っておられましたが」
「まあ、新入生だものね」
明日香は苦笑で頷いた。
「そういえば、里中 実加って知ってる?」
明日香は少し逡巡すると、首を横に振った。
「3年生らしいんだけど」
情報をつけたしても、明日香が首を縦に振ることはなかった。
「飛脚を使っていない方かもしれません。飛脚の利用者は主に物品の搬入が多いですし、個人で利用されている方は限られていますから。今月は特例みたいですけど」
私みたいなのが特殊だってことか。
明日香曰く、風紀強化月間中は携帯の利用を控えるために飛脚部を利用する生徒が増えるそうだが。それでも、個人で利用する生徒は3分の1にも満たないそうだ。
ならば仕方がないと、私は事前に用意してた手紙を取り出して、明日香に差し出した。
「繁忙期に悪いんだけど、また、手紙をお願いしても良いかしら?」
「もちろんです」
明日香は変わらない笑顔で、手紙を受け取ってくれた。
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