64
いつものように荒士の当番の時を見計らって、生徒会会議室に侵入する。
そういえば、党紀はなぜカメラを見返さなかったのか。荒士に聞かなければならない。カメラを見返すのにも、何かしらの基準があると予想しているけど、そもそも党紀が監視カメラの設置に関与していないから、なんてこともありうるから、まあ、なんとも言えない。
私は会議室の奥にある資料室に入ると、一列に並んだファイルの名前をなぞった。委員会のタイトルを見つけて、ページを捲った。生徒会から風紀、党紀と手書きの名簿が続く。あらゆる委員会の最後に校紀委員会の欄はあった。自身の名前に見慣れた名前に続いたのは、知らない4名の名前だった。ファイルの年号を確認して、内3名が卒業していることが判明した。私は4名の名前を生徒手帳にメモをして、1人の名前に赤ペンで目印をつけておく。そのあとは、家捜しを始めた。
郵送が終わったはずのステッカーと許諾書は、すぐに見つかった。資料室の入り口近くの棚の上。なんて、不用心だ。私は2つに分けられたシールの山の小さい方、予備分と書かれた袋に入れられたものから1枚抜きとる。そして許諾書も綺麗に抜きとって、生徒会室をあとにした。
保健室に行きがてら、携帯を取り出す。【菩薩】のメールを再度確認して、ため息がこぼれた。
その前に昇降口に行かなきゃ。用意しておいた封筒にステッカーと許諾書を入れて、名前のない下駄箱に滑り込ませた。
再度、携帯を開く。今度こそ保健室に向かいながら、ゆっくりと指を動かした。
やっぱり、気が進まない。進まないけど、まさか在校生がいるとは思わなかった。だから、藁をもつかむ思いだ。
私はたった1文、携帯に打ち込む。
『あなたは、誰?』
テスト期間中に返事が返ってくれば良いけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます