004 二日目 早朝 失踪
外から朝に鳴く鳥の声が、カーテンの無いむき出しの窓から入ってくる。
部屋にその音がこだまして、ふと気づくと少女は一人だった。
季節外れの掛布団に包まって寝たはずなのに、上にもう一枚。
猫が使っていた少女の掛布団がかけられていて、少し重かった。
部屋には少女と、鳥の声と、残された布団のみだった。
(あぁ、出て行ったのか…)
その光景と事象から、少女はそう悟った。
後悔も期待も感傷もない。
春が来て、去って夏が来る。
雨が降って、上がって晴れる。
その流れのように、ただただ移り変わりの事象のように少女は思った。
学校への身支度をする為に、
まだ少し肌寒い、半そでのセーラー服のスカートのジッパーを引き上げる。
部屋には外の光が差して半分明るかったが、半分は影で暗かった。
朝食を用意し、一人で食べる。
大体朝はトーストだ。
それをダイニングの方の机で一人で食べる。
机の上にこの家唯一のテレビがあるが、点けているだけで特に内容は見ていない。
テレビの音が静寂を少しまろやかにしてくれる。
朝食が終わり、洗い物をする。
猫はどこへ行ったのだろうか?
猫は気ままな生き物だから、自由に旅をして暮らしているのだろうか。
そんな事を考えながら皿を洗っていると流しのすぐ横にあるドアが開く音がした。
少女は水の流れる音が響く中、ゆっくりとドアを見た。
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