みずうみを守る人たち -8
『ウシどろぼう』はそれからも、毎日みんなの話を聞きました。
ある日『ヒヅメ』が『ウシどろぼう』のところへ、ある人を連れてきました。
『ウシどろぼう』はその人の話を、聞いてあげました。
そのあと『ウシどろぼう』は、『ヒヅメ』に言いました。
「『ヒヅメ』。わたしは『西からにげてきた人たちのむら』に行こうと思うんだ」
「そうだな。あそこになら『見守り』がいるかもしれない。このむらの困っていることを、たくさん聞いてくれてありがとう」
「うん。それにもしいなくても、そこで困っている人たちの力には、なれるかもしれない」
「ああ。西から逃げてくる人は、どんどん増えている。困りごともどんどん増えている」
「うん。それで『ヒヅメ』にお願いがあるんだ」
「なんだ?」
「わたしの『見守り』が見つかるまでのあいだ、わたしを見守ってほしいんだ」
「そうか」
「うん」
「少し待ってほしい。そうと決まれば色々とやらなきゃいけないことがあるんだ」
「やらなきゃいけないこと、って?」
「(あなたの)見守りをするなら、(わたしはわたしの)仕事を誰か他の人に代わってもらわないとならない。それにおしゃべりの約束もあったし、遊ぶ約束もしていた。そういうのを全部やってからじゃないと、(あなたと)いっしょには行けない」
「そうだね。わかったよ」
「じゃあまたな」
「うん」
次の次の次の日。
色々とやらなきゃいけないことを終わらせた『ヒヅメ』が、『ウシどろぼう』のところへやってきました。
『ヒヅメ』は『ウシどろぼう』の本当の『見守り』が見つかるまで、『ウシどろぼう』を見守ることにしました。
「ありがとう『ヒヅメ』」
「ああ」
「それで『西からにげてきた人たちのむら』には、どうやって行くの?」
「そんなに遠くはないから穴を通って行こう。そこまで穴でつながっている」
「すごいな。あなたたちの穴は、本当にどこまでもつながっていそうだ」
「ああ。どこまでつながっているのかは、誰も知らない」
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