東の人と西の人。

わたしと手をつないでくれてありがとう。

今日は東の人と西の人のこと。それをあなたに伝えますね。


でも最初に伝えておきますね。

人に、西も東も北も南もありません。

人に、上も下も右も左もありません。


わたしが東の人とか西の人って言うのは、あなたにわかりやすく伝えるために言っているだけです。

そのことだけは、おぼえておいてくださいね。



わたしたちの時代には、大きく分けると東の人たちと西の人たちがいます。

もちろん、もっと小さく分けたら、もっと色んな人がいます。


東の人たちは『かえるところ』といっしょに暮らしている人たちです。

『かえるところ』は、東の端っこにあります。

『お訳しさん』や『お渡しさん』は『かえるところ』からやって来ます。


東の人たちのむらには『お訳しさん』がいます。

東の人たちのむらには『お渡しさん』がやって来ます。

でも東にも『お訳しさん』がいないむらもありますし、『お渡しさん』が来ないむらもあります。


「いらないし、来なくて良い」と言われたら『お訳しさん』も『お渡しさん』も行きません。



西の人たちは『かえるところがいらない人たち』といっしょに暮らしている人たちです。

西の人たちも昔は東で『かえるところ』といっしょに暮らしていました。

でも「自分たちが昔住んでいた土地に帰りたい」と行って、西に行きました。


西に行った人たちはずっとずっと、西の端っこまで行きました。

東の端っこにある『かえるところ』から見たら、西の端っこは遠すぎます。

だからそこまで『お訳しさん』や『お渡しさん』が行くのは大変です。


それでも最初はがんばって、西の端っこまで行っていました。

『かえるところ』は、西の人たちが何か困っていないか心配でしたから。

西の人たちも、最初は『かえるところ』の力を借りていました。

でもある日、西の人たちは「もう自分たちだけでがんばれるよ」と、『かえるところ』から来た人たちに言いました。

それが『かえるところがいらない人たち』です。


東の人たちは『かえるところ』といっしょに、

西の人たちは『かえるところがいらない人たち』といっしょに暮らしています。


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