手をつなぐこと。

わたしと手をつないでくれてありがとう。

今日は手をつなぐこと、それをあなたに伝えますね。


わたしの時代の『手をつなぐこと』は、きっとあなたの時代の『手をつなぐこと』とは少しだけちがうはずです。

でももし 「ううん、同じだよ」 とあなたが言うなら、わたしはうれしいです。



あなたが誰かと手をつなぐとき、そこからどんなことがわかりますか?

相手の手のあたたかさですか(それともつめたさ)?

相手の手の大きさですか(それとも小ささ)?

それとも相手の手がざらざらしてるとか、すべすべしてるとか、でしょうか?


誰かの手をにぎってわかることって、たくさんありますよね。

手に汗をかいてることもわかりますし、心臓が動くはやさだってわかります。

やわらかさも、かたさもわかりますよね。


わたしたちが誰かと手をつなぐと、それよりもっとたくさんのことがわかります。

わたしたちが手をつなぐと、相手の知っていること、考えていること、思っていること、それが全部わかります。全部です。


そして、それはとてもはやくわかります。

あなたが生まれてから今までに見て知って感じて思ったことを全部、誰かにしゃべって(それか、文字を書いて)伝えようとしたら、どれくらいの時間がかかりますか?

わたしたちが手をつなげば、きっとそれよりもはやく伝えられます。


しゃべるよりもはやく、書くことよりも多く、相手に伝えることができて、相手のこともわかる。

それが、わたしたちにとっての『手をつなぐこと』です。


でも。

だからわたしたちは、あなたたちより『しゃべること』が下手くそです。何かあったら、話すよりも手をつなごうって思ってしまいますからね。

言葉で(それか文字で)、誰かに何かをしっかり伝えられるあなたたちのことが、少しだけうらやましいと思います。


わたしのそんな気持ちも、わたしと手をつないでいるあなたにはお見通しですね。

だからわたしたちは気持ちを隠しません。

気持ちを隠せないからです。


わたしは、あなたと手をつなげばあなたが隠していたいこともわかります。

あなたは、そんなわたしとこれからも手をつないでくれますか?


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