パフェ食う屍パフェゾンビはロリババア

山本レイチェル

 てっぺんの苺が、それを支える生クリームごと口に運ばれた。


 口の中で赤い果実が潰れて、可愛い形を崩し、汁まみれになって喉の奥から滑り落ちていく。


 私はこの可愛い苺を消化できない。ただ悪戯にぐちゃぐちゃと噛み砕いて飲み込まされ、そして垂れ流す。残念だがそれしかできない。


 私は少女の姿で生まれた。そしてずっと、苺を口に運んだこの男と生活を共にしている。彼は、初めこそ熱心に遊んでくれたが、今ではパフェやケーキ、アイスクリームなど、可愛い食べ物を口に運び、咀嚼させ、私の粗相を拭うことぐらいしかしなくなった。


 あなたは、あの時に比べて随分老いぼれたね。


 私はまだ少女の姿のままだよ。


 貴方が死んだら、せめて一緒に燃やしてくれないかな。


 だって、パフェを口に入れることができなくなるのがとても悲しいから。

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パフェ食う屍パフェゾンビはロリババア 山本レイチェル @goatmilkcheese

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