第2話 学園の女神様
どの学園にもカーストというものが存在する。スクールカーストだ。無論明確に存在しているわけではない。インドのカースト制度みたいに。
だが、雰囲気で格付けが決まるのだ。例えば野球部のエースというだけでスクールカーストの上位に立つ事ができる。学年の首席になれば当然、上位に立つ事ができる。女子でいうならば明るくて可愛いっていうだけでカーストの上位に立つ事ができる。
総じてコミュ力の高いクラスの中心的人物は有利だ。生徒会長なんかになったらカースト順位が爆上がり間違いなしになる。
そのカースト制度には曖昧ではあるが評価項目が存在する。例えば『運動』特に運動でいうなら人気スポーツであるサッカーや野球は有利だ。次に『勉強』テストの順位が高いやつほど注目が集まり、評価が上がる。
女子でいうなら可愛いかどうか。それ+どこかでモデルをやっている、とか、アイドルをやっているとか、付加価値があれば猶更、カースト順位は上昇する。
明確な基準ないかもしれないが、そういう評価基準が曖昧に存在しているのは間違いのない事実であった。
そのカースト内の評価には俺がやり込んでいる『ソシャゲ』の評価項目なんてない。誰も学園では俺を評価してくれないんだ。俺を評価してくれるのはあくまでも『ソシャゲ』の世界だけでの話であった。
そんな中、そのスクールカーストの最上位に位置する人物が現れる。
一台のリムジンが学園の前に止まる。
「お嬢様、お待たせしました」
「いえ……問題ありません」
リムジンから一人の絶世の美少女が姿を現す。人形のように整った顔。そしてモデルように整った無駄のない体。そしてリムジンから降りてきた事からわかるように超がつくほどの金持ち。なんでも財閥のお嬢様らしい。
学業成績優秀。その上スポーツもそつなくこなし、彼女の身体能力を狙って部活間で取り合いになっているらしい。
彼女の名は望月凛という。
「すげー……リムジン」
「きゃー! ……凛様よ。今日もお綺麗」
あまりに凄すぎる存在を目の当たりにすると人間は嫉妬しないのかもしれない。もはや神のように崇められるのだ。
彼女は『学園の女神様』と呼ばれる特別な存在であった。
俺は彼女を遠くから見るだけだ。きっとこの学園生活で一回の会話をする事もなく過ごす事になるんだろうな。俺はそう思っていた。
彼女にとって俺は道端の石ころも同然なんだ。
しかし。俺は今後、思わぬ形で望月凛との接点ができるのであった。
スクールカースト最下位の俺と最上位の望月凛。
出会わないはずの俺と彼女。その二人が出会ってしまった。
そう、出会いのきっかけは俺がやっているソシャゲ。
『グロンブルー・ファンタジー』だったのだ。
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