先に地獄で待ってるね

アオヤ

私、地獄いきだよね

「ねえ裕二、生と死の境い目って何だとおもう?」

「何だよ加奈、いきなりそんなこと言われても・・・」

いつもはキラキラした瞳で“何か企んでるぞ”オーラをプンプンさせながら俺の所に来る加奈が今日は何故か真剣な顔でやって来た。


「ん〜難しいこといえば・・・人間や動物の細胞にはミトコンドリアという生き物が居て、それが細胞にエネルギーを与えているそうだが・・・」

「ミトコンドリアが反逆をおこせば生物なんて直ぐにエネルギー不足で死んだも同然だろうな!」


「裕二私ね、膵臓が反逆おこしちゃたの。」

「膵臓が革命おこして私の事、“火あぶりの刑”にしようしている。」


俺は加奈の言葉の意味が判らず、キョトンとしていると


「私ね、膵臓ガンなんだ! 余命半年なんだって。」


エッ?目の前の加奈が居なくなる?


「私ね、裕二の事ずっとかまって欲しくてイジメたりツンとしたりしていたよね。」

「そんな態度の私にきっとバチがあたったんだよね。」

「きっと私、地獄行きだよね!」

「裕二、私が地獄に落ちたら迎えに来てくれる?」


「加奈が居るならどこでも迎えに行くよ!」


「地獄だよ! あの蜘蛛の糸の・・・」


「そうだよ!地獄、確か高章寺に地獄絵図が描いてあったのを観たことあるけど・・・」

「今から、あの山の頂上まで行ってみる?」


「まだ今なら動けるから・・・生きてるうちに地獄を観とこかな? 」




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