第53話053「トーヤの到着」



「おおおおおおおおお!!!!!!!!!!」


 ドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!


 ウルシャは目の前の『魔族』と化したロビン・ステファノに全力の魔力を込めた拳を叩き込んでいく。しかし、


「遅い! 遅い! 遅い! 遅い! 遅い!」


 ロビンは、その拳全てを近距離でかわしていく。


「オラァァァァァァ!!!!!!!!!」


 ドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!


 同時に、横からは巨躯のゼストリア高家リガルド・ゼストリアも拳を放つがこれもロビンはすべてかわしている。そして、


「フンっ!」


 ドム!


「おごっ⋯⋯?!」

「爺っ!」


 ウルシャに腹部に強烈な拳を入れるロビン。そして、


「せいっ!」


 ゴガッ!


「ぐはっ!!」


 ロビンの細腕の拳が巨躯のリガルドの顔を捉えると、リガルドは壁に吹き飛ばされる。


「「「「「⋯⋯リガルド様っ!」」」」」


 細身のロビンが武闘派のリガルドをまるで寄せ付けない強さを見て周囲が驚愕する。


「さて⋯⋯もう飽きたな。こいつらをさっさと殺してアリス様をお連れしなければ⋯⋯」


 そう言って、ロビンが倒れているウルシャにトドメを刺そうと近づいた時、


「おい、お前⋯⋯」

「ん?⋯⋯⋯⋯おごっ!!!!!!!」


 ドゴオオオオオオオン!!!!!!


 突然、ロビンが殴られ、激しく壁に吹っ飛んだ。


「なっ?! 何が?⋯⋯⋯⋯っ!? お、お前は⋯⋯」

「遅れてすまない、アリス」

「ト、トーヤっ!!!!!!!!」


 ロビンの体を吹っ飛ばした本人⋯⋯トーヤが教室に入ってきた。



*********************



「ト、トーヤっ!!!!」

「すまない、アリス。遅くなった」

「いや、気にするな。それよりも妹は⋯⋯レナ君とは⋯⋯」

「大丈夫。ちゃんと仲直りしたよ。今はラウと一緒にここへ向かっている」

「そうか⋯⋯よかった」

「ただ、まあ⋯⋯事態が思っていた以上に急展開でな。俺もあまりよくわかっていないが、少なくとも今、アリスの身が一番危険なのは確かだ」

「っ! もしかして⋯⋯兄さま⋯⋯か?」

「⋯⋯ああ。まだ確認はしていないが、少なくとも今、恐らくアリスの兄であるライオット様は動いていて、その手下の人がここにいる⋯⋯ロビン・ステファノだと思う」

「お、お兄さまが動いている? それってまさか⋯⋯」

「おそらく⋯⋯⋯⋯父である国王とアリスの抹殺」

「そ、そんなっ!?」

「とにかく、一刻も早く、ライオット様を探す必要がある」

「よくわかってるじゃないか⋯⋯トーヤ・リンデンバーグ」

「「っ!!!!!!!!!!!!」」


 窓の外で浮いているロビンが二人の会話に入ってくる。


「ライオット様はこれからこのガルデニア神聖国の国王となり、世界を支配するために動かれる」

「そ、そんなこと! いくら、お兄様でも、そこまでのことは⋯⋯っ!!!!!」

「フン。アリス様は何もわかっておられないので私からお教えしよう。あなたの兄上であるライオット様はもう人間ではない。私と同じ魔族⋯⋯しかも上級魔族として新しく生まれ変わった」

「え⋯⋯ま、魔族⋯⋯」

「そうだ。この世界は我々魔族が支配する。その手始めがこの国の支配だ。あー、あと⋯⋯トーヤ・リンデンバーグ。お前は一つ勘違いをしている」

「何?」

「ライオット様は国王の抹殺もアリスの抹殺も考えていない。抹殺対象は⋯⋯⋯⋯お前だ、トーヤ・リンデンバーグ」

「っ?! な、なんだと!」

「魔族となった私にあれだけの威力の攻撃を与えるお前はやはり常人離れしているのはわかった。そして、ライオット様もそのことを以前から危惧しておられていた。だから、お前はここできっちり⋯⋯⋯⋯殺す」

「⋯⋯そう簡単にやれると思うなよ?」


 そういって、トーヤがロビンに向けて威圧を放つ⋯⋯⋯⋯が、


 パキン!


「フン。その程度の威圧、この私レベルには通用せん」

「⋯⋯なるほど」


 フッ!


「っ?!」

「⋯⋯だがスピードにはついてこれないようだな?」


 ドゴッ!


「ぐはっ!」


 一瞬でロビンの背後に回ったトーヤは、握りしめた両こぶしをロビンの頭に放ち、地面へと激しく叩きつけた。


 身体強化と風魔法の応用で地面へ着地するトーヤ。


 そこはちょうど、校内で使用する屋外武道場だった。


「ここなら思いっきり暴れられる」

「くっ!⋯⋯⋯⋯こ、この⋯⋯⋯⋯殺す! 殺してやるぞ、トーヤ・リンデンバーグぅぅぅ!!!!!!!」



*********************



「オラァァァァ!!!!!!!」


 教室のときとは打って変わって、ロビンが全力で魔力を込めた拳をトーヤに放ってくる⋯⋯が、


「ほい、ほい、ほい、ほい⋯⋯」


 そのすべてを最も簡単にかわしていくトーヤ。


「そ、そんなバカなっ! な、なぜだ! なぜ、当たらん! 俺はランクで言えばSランクレベルの強さだぞ? しかも魔族になったアドバンテージの強さもある。なのになぜ⋯⋯⋯⋯なぜ、お前に拳が当たらんのだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」


 ロビンは怒りと驚愕の入り混じった顔をしながら、尚も全力で拳を放ち続けるがトーヤはそれらすべての攻撃をやはり余裕でかわしている。


「当たり前だろ? だって、俺、Sランク以上のステータスだもの」

「は?」


 その瞬間、動きを止めたロビン。すると、


「はい、スキあり」


 ドゴォッ!


「ごは⋯⋯っ?!」


 ロビンの腹部に強烈の拳を入れたトーヤ。ロビンはあまりの威力に膝をつく。

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異世界セルフプロデュース 〜せっかくチートで異世界に転生したのでセルフプロデュースしてみた〜 mitsuzo @mitsuzo_44

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