第二章 高等学校編
第25話025「ガルデニア神聖国立高等学校」
——ガルデニア神聖国立高等学校
ガルデニア神聖国の王都アクロポリスにある11歳〜13歳までの少年・少女たちが通う学校。
主に魔術や剣術、体術といった『戦闘』を中心に学ぶ教育機関⋯⋯というより『国防機関』といったほうが正しいだろう。
基本は『戦闘』に必要な知識・技能を学ぶが、それ以外にも『謀略・戦略』といったものも学ぶ。
他にもケガや状態異常などを回復する薬草や治癒魔術といったカリキュラムも用意されている。
そんな『戦闘』を学ぶ『一般コース』とは別に、『魔道具研究』を学ぶ『学者コース』というのもある。
学者コースの生徒は、ほとんどが『座学』と『研究』の勉強となるが一応『一般コース』で『戦闘』の授業に参加することも可能である⋯⋯が、そんな生徒はほとんどいない。
卒業後は適正に応じて『騎士団』『術士団』への配属となるのが一般的で、学者コースの生徒は『魔道具研究所の研究員』に配属されるのが一般的だ。
「「「おお〜⋯⋯!!!!!!!!」」」
パチパチパチパチ。
オーウェンに今日から通う『ガルデニア神聖国立高等学校』の学校説明をしてもらった。
相変わらず、完璧な男である。
現在、俺たちは校門にいる。
サイハテ村から昨日着いて宿屋で一泊し、次の日の朝——いわゆる今日だが、オーウェンと校門で待ち合わせしていたのでそこに向かい、今に至る。
「とりあえず、学校もそうだけどトーヤたちは王都自体初めてだろ? だから、しばらくは王都を出歩いて土地に慣れるのがいいんじゃないかな?」
オーウェンが爽やかな眩しい笑顔で的確なアドバイスをくれた。
俺が女子なら一発で惚れてしまいそうなイケメン同級生である。
「そうだ! お兄ちゃん、学校休みになったらみんなで王都見学しようよ!」
「そうだな」
「うん、いいね!」
「いい⋯⋯ですね」
レナの提案に皆が一斉に参加表明をする。
ただ、ミーシャだけが少し元気がないように感じる。
サイハテ村にいた頃から⋯⋯というより魔獣襲撃の後からずっとこんな感じだ。
「⋯⋯それにしても」
「ん?」
「オ、オーウェンお兄ちゃん⋯⋯その横にいるロマンスグレーのおじさまは⋯⋯誰?」
レナは、皆の「誰か聞いてくれよ!」という声を代弁してくれた。
さすが、わが妹。
「どうも、お初にお目にかかります。わたくし、マクスウェル家にてオーウェン様の専属執事をさせていただいております⋯⋯『レイ』と申します。以後お見知りおきを」
オーウェンの専属執事という『レイ』が深々と頭を下げる。
「「「よ、よろしくお願いします⋯⋯っ!!!!!!!!」」」
レイさんの迫力に俺たちは、思わずマネをして深々と頭を下げた。
「どうだい? 素敵な友達だろ?」
オーウェンがレイに得意げに言葉を掛ける。
「はい。素晴らしいご学友の皆さんです」
「ありがと!」
オーウェンはレイの言葉に喜んで元気よく感謝の言葉を告げた。
何となく⋯⋯オーウェンが白髪オールバックの執事のレイさんに甘えているように見えるのは気のせいだろうか。オーウェンにしては珍しいハシャギようである。
*********************
「では、いってまいりませ⋯⋯オーウェン様」
「いってきます」
俺たちはレイさんに見送られ、入学式会場の体育館へと向かう。すると、
「あ、あのお方はもしかして⋯⋯マクスウェル家のオーウェン様じゃない?!」
「そうだわ! オーウェン様よ!!!!!」
「か、かっこいい⋯⋯ですわ」
「なんて⋯⋯凛々しいお姿!」
「キャーーーー!!!! オーウェン様ーーーーーーっ!!!!!!!!!」
周囲の女子がオーウェンを見るや否や、黄色い声援を上げまくりの大合唱を始めた。
え? 何それ?
それ、どこのハーレム?
俺がこの世界で叶えたい夢の一つを⋯⋯
オーウェン、恐ろしい子っ!?
「オ、オーウェンお兄ちゃん、すごい!? お兄ちゃんって王都ではすごい人気者なんだね!!!!!」
「す、すごい⋯⋯。ゆ、有名人なんですねオーウェン君⋯⋯」
サイハテ村にいた頃のオーウェンしか知らない俺たちにとって、周囲の同年代の生徒がオーウェンを見て声援を飛ばす状況についていけずにいた。
「⋯⋯まあ『マクスウェル家』ていう家柄が有名なだけで、僕なんてそのブランドでキャーキャー言われているだけだよ」
オーウェンは控え目な言い方をするがそんなことはないだろう。
確かに、マクスウェル家は有名だろうがそれ以前にオーウェン自身の評価が高いのだろう。
いくら、家が優秀でもボンクラ息子であればこんな声援は起こらない。
もちろん、これだけの声援を送られるマクスウェル家という『一族』の評価もかなり高いことは安易に想像できる。
しかし、マクスウェル家が貴族でも有名であることは多少聞いてたが、これを見る限り、俺たちが考えている以上にマクスウェル家というのは王都でもかなり評価が高い貴族だということがわかった。
それにしても、
「う、うう、ううう⋯⋯」
「?? トーヤ?」
「トーヤ⋯⋯君?」
「お兄ちゃん?」
「うらやまけしからーーーーーーーーーーんっ!!!!!!!!!!!!!」
人は嫉妬に
勉強になりました。
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