第7話 マスターとの会話 繰り返す輪舞

子供達をお昼寝させた後 

ミルク、アイラ、カカオの三人はマスターのコンソールルームにいた

「・・・マスター?」「マスター」


「ああ、すまないな また眠っていた 

この私の『脳』もあと どれくらい持つかな」


手元あった小さなドーム型のオルゴールをそっと弄る

その後、すぐに彼が左側にある 円筒を視た。


そこには 透明な筒の中に 特殊な液体に浸かった人間の脳があり 

色んな電極の線が結ばれていた。


「私自身の身体が死んで ここに『脳』だけ置き 

『脳』は無線ランで この身体とつながり・・

こうして 死んだ身体に似せたロボットの身体で ずっとこうして・・」


「・・仲間たちは 全て・・もう 

疫病にも感染せず 放射能の影響も私一人が逃れて・・」


「放射能や生体兵器の疫病に満ちた

ドームの外の世界・・」


「ドームの中に穏やかで 人間の為の優しい楽園を作りたいとは

思うが・・」


「先日の騒ぎのように 外からの攻撃もある」


「・・今だに もうない国家の指示のもとに

人間の殲滅をしようとしてる」


「・・疫病の一つの影響で 子供達の『肉体』は12歳前に

いつも死んでしまう

そのたびに クローンの身体に記憶を移して・・

記憶調整しては 幾度もやり直してる」


「私の『脳』は 障害があって クローンの身体の方に適合出来ずに・・」


「せめて子供達の肉体の成長を可能にする為に

 病を克服すべく 研究も進めてるが・・」


「繰り返す 輪舞のようだ」


彼の手の中にあるドーム型のオルゴール 

透明なドームの中には 

オルゴールの音と共に子供や動物が楽しそうに踊ってる


繰り返し同じ踊り・・繰り返す



「・・また敵の基地を殲滅しなくてはいけない」


「私の『脳』も・・そう長くないかも知れない」


表情一つ変えないアイラやカカオと違い・・ミルクは

ミルクは悲しそうに涙を浮かべてる


「・・・『感情』という特別なものをミルクには入れてみたが

ミルクには感情があるから・・少々辛いか」


「マスター、 アイラやカカオも彼女たちなりに辛いのです」


「アイラもカカオも人間を愛してるのです 

例え 『アシモフの三原則』を組み込まずとも 私達は人を傷つけたくはないです」



「・・前に進めない 繰り返す輪舞の中でも

私達はマスターや子供達とこうしているだけで 幸せなのです」


「そうか・・」彼は愛しい機械人形たちに微笑んだ



FIN



21。11.11~11.24 


初稿は違う場所

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