書いたら物書きを名乗る

 ブログでも小説でもエッセイでも、文章を世に出したら、人間は皆物書きを名乗れ、と思っている。人に強要するつもりはないけれど、「染井さんはどう思いますか」と意見を求められたら、「物書き、もしくはそれに類する肩書きを恐れず名乗るように」とアドバイスする。

 自分が作家とか物書きだなんて、おこがましいのではないかとか、一度もお金になっていないのにとか、書籍化作品がないのに、とか、私も昔は思っていた。

 作家と言えば、海堂尊さんや東野圭吾さん、宮部みゆきさんを想像するわけで、作家は自分からとんでもなく遠い肩書きのように思われた。だからこそ、何者かになりたい、特に小説家になりたい人に対してワナビなんて呼称も登場したのだろう。

 私は、ワナビという言葉が大嫌いだ。侮蔑的な意味を含んでいることもそうだけれど、その人達を何者にもなれないと冷笑する、その姿勢が嫌いだ。自分でワナビって名乗っちゃう人も正直合わない。

 ワナビだなんて名乗っているうちは一生ワナビだ。


 言葉遊びみたいなことをしてしまったけど、これは本当にそうなんだ。

 なりたいなら、作家とか小説家とか物書きとか、自分の目指す肩書きを名乗って、目指せ。

 名乗らないまま、ぐだぐだと目指していたっていいことない。というのも、ワナビにも小説家志望にも責任はないけど、作家とか小説家とか物書きと名乗った途端に、責任が生まれるからだ。書き手としての責任が生まれる。

 それは、書いて金銭を得ていなくてもだ。

 書いて、発信することには、責任が伴う。それを、ワナビとか小説家志望とかって言葉で薄めてはいけない。

 無料で書いていても、人を傷つける可能性はある。その責任は、あるんだ。だから、カクヨムに投稿している時点で、皆作家や物書きである自覚をもってほしい。

 私は物書きを名乗るから。


 かくいう私にも出版経験はないので、こんなことを言っても説得力はないかもしれないが。

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