「彼女のところに行ってあげなくていいの?」


「約束はしてきた。だから行かなくていい」


「口約束でしょ。そんなもので」


「価値はないよ」


「だったらわたしのところへ来る前に」


「価値はない。が、意味は、ある」


「なにそれ」


「とにかく、色恋沙汰よりも仕事だ。行くぞ」


「はいはい。結婚式には呼んでね。スピーチするから」


「やめろ」


「涙ちょちょぎれる演説したげる」


「そういえば、おまえのほうは?」


「事実婚なんで。式はないです」


「それは建前。本音は?」


「結婚式したいいい。価値はないけど意味はあるのおおおお」


「そうか」


「はあ。仕事しよ」


「そうだな」

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約束の価値 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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