第4話 虫嫌い
楠山が来なくなってから1週間が経った。
体調を崩しているのだろうか。よく分からない。
楠山と仲良くしていた女子達は全く楠山のことを話題に出さなかった。少しぐらい心配してやってもいいと思ったが、案外長く休んでいる友達について何も言わずに安心して待っているのも信頼の証なのかもしれない。
この1週間は特に何の変わりもない日々が続いた。
夢も不思議ではあるが特に不快になるようなものではなかった。
両親もまだ帰って来ていない。
それをいい事に賢介を家に誘ってみることにした。
「今日僕の家来る?賢介が前々からやりたいって言ってたゲーム、一緒にやろうぜ」
「おぉ!行く行く絶対行く…って珍しいな。あんまりお前、人と遊ばないのにな」
「日々お世話になっているお礼です。お納めください」
「くるしゅうない」
そうして僕は賢介と一緒に僕の家に帰った。
…あっ。生ゴミまだ捨ててなかった。
気にしないか。賢介なら。
と、思っていたが賢介は僕の家に入るなり物凄い冷や汗をかいて、すごく脅えた様子で家から出ていった。
「え?」
意味がわからない。どうしたっていうんだろうか。
ふと、目線を下ろしてなるほどと思った。
床に小さなミミズのような虫がいたのだ。それも沢山。
賢介は重度の虫嫌いである。この虫を見て怖がったのだろう。
「うえぇ…」
僕も虫はそんなに好きじゃないため駆除するのに少々手間取ったが、無事処理終了。
なんかこの虫のせいか、床がベタつくな。
臭いし。掃除するかぁなんて思ってもやる気が出なかった。
賢介と遊ぶのを楽しみにしていた俺は少々ガッカリしたのかもしれない。
また今度掃除してから遊ぶことにしよう。
…今度なんて来るのだろうか。
次の日から賢介がやけに僕を避けるようになっていた。
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