黒霧の少女24


空とくうは一見普通の館の前にいた。


それは遡ること少し前、試練をクリアして、元の世界に戻った時。


伊勢神宮。言わずと知れた観光名所だ。なのにも関わらず人が居ない。


戸惑いを隠せない2人の前に半透明の小さな巫女が突如として現れる。


明らかに自分たちより高次元の存在。


『君達の希望が危ないよ。こんな所にいては間に合わないよ』


片言の様な棒読みのような声でしかし、耳ではなく脳に直接響く声。


くうは、慣れない感覚に蹲り、空は寄ろけるが、目をしっかりと目の前の少女に合わせる。


「どういう事、ですか?間に合わないとは?」


クラクラする頭で、具体的な事を言わない少女にその内容を尋ねる。


少女は何も言わず、閉じたままの目を開く。


その目は虹色に彩られ、強い光が2人を襲う。


「さっきも食らったやつー!」


くうが両目を塞ぎながら叫ぶ。


空もくうの言葉に内心同意しながら光が収まるのを待った。


光が消えた時、自分たちは何故か1軒の舘の前にいた。


そして、空とくうの2人には嫌な予感がしていた。


回復仕切っていない体で毅然と館に足を踏み入れた。

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時と歌 @sinkisiki

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