ネク・ビエンテ 黒霧の館15


その歪みに足を踏み入れた途端、3人とも蹲り声にならない喘ぎを漏らす。


呼吸すらままならないのか喉を抑え、目は見開かれる。


ネクは充血した目からどす黒い血を流し、倒れた体を血で濡らす。


既に、体の感覚はなく、あるのは内側から爆ぜるような痛み。


神経がちぎれるような感覚、それは四肢がちぎれる様な痛みで、既に意識が薄れかけている。


乃愛は既に動かなくなっていて、風前の灯。


フォールスは魔力耐性が強いあまり苦しみが長く続く。


目から口から皮膚から、血が溢れ血を染める。


絶体絶命。


魔力そのものと言っても過言では無いほど、濃度が濃く、放射能に近い。


ネクは、死を覚悟した。


志半ばでこんなところで死ぬ。


無念。それに尽きる。


と、その時この場所一体を覆い尽くす淡く光る時計が現れる。

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