ネク・ビエンテ 黒霧の館11


「月の化物」


ネクのとフォールスは2人して怪訝な表情を見せる。ネクはともかくフォールスに至っては諜報も仕事のうちだ。そのフォールスがピンと来てない自体に危機感が芽ばえる。


「……詳しく分かるだろうか」


「その前に一つだけ約束して」


「出来うる限り」


「充分ね、月の化物……」


ノアが月の化物について知っていること。


まず、目立つ異形に頭。三日月型の頭に白目部分が黒く、黒目部分が血のような赤であるということ。


うっすらとした記憶のなかで、その目に捉えられただけで動くことが出来なくなった。


人を何処からか攫ってきて人体実験らしき事をしていること。


そしていつも嘆いているという。


「ごめん。あまり詳しくなくて、でもさっきのは人体実験された、元人なんじゃないかなって」


ネクが唸る。


「魔力待ちの一般人又は魔法使いに準ずる人をさらってるってか。クソっ私達だけじゃ手に負えないぞ」


かといってネクは統括会に入っている訳ではなあい。組織に報告して終わりとはいかない身。


「でももういなんじゃないかな、多分私に魔力を使いすぎたんだと思う」


「そうか。で、君は一体なんなんだ?」


ノアは2人を信頼してもいいと考え、呼吸を整えるために深く深呼吸する。


「私は………

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