黒霧の少女22


『お前の存在する意味は?』


「意味、それは……」


『お前が生きる価値は?』


「…………ッ!」


「それは、この力を……私には生きる意味が無い?」


『それは違う』


こんな質問アイツなら易々と答えるのかな。


アイツは目的や、信念がハッキリしてるんだろう。じゃなきゃなんな不敵な顔はしない。同じ歳で私だけが空っぽじゃないか。…そっか。


「……私は空っぽだよ!」


『そうだ』


「だから、これから探すんだ。私が私の意思で」


『正解だ』


良かったと安堵する。そして、自分の意思。これを初めて意識した気がする。そうだ私には意思がなかった。こうしたい、やってみたい。そういった意志を無意識に殺してた。辞めよう。私は私の思うままにやってみよう。困難な事もあるだろうし、壁が立ちはだかることもあるかもしれない、けどそなったらアイツを巻き込んでやれ。


『お前の大切な人は?』


「咲」


『だけじゃないはずだ』


「どういう事だよ、私には咲しかいない!力をくれたのも!家族も!私には咲だけだ!」


『新しい繋がりもあるだろう。お前を導いて今もすぐ側にいる人間が居るだろう』


「まさか、空?」


『そうだ。お前の脳裏にはアイツと出会ってから何時も比較してたろう。参考にしてただろう』


それは、無自覚にあいつを意識してたってか。そりゃないぜ……。


そう思うくうの頬は朱に染るが、幸いここにはそれを指摘する人物は存在しなかった。


『最後だ。これから何をする』


随分とアバウトな質問が来たもんだ。だが、私は不敵に笑いこう答える。


「空を助けよう。空と共に居よう。そうすれば私はきっともっといろんなことを知れるから。……悔しいが、癪だが!大切な人だから最後まで守りたい」


『そうだ。そして、お前の力はお前の為ではなく、誰かに届けて初めて意味を成す』

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