「その口振りだと、惨状とやらを作った者と、あの二人が別人だと言っているようだ」
「……わからないけど、あの二人は嘘を吐いているようには、見えなかったから」
「ほう……ならば、お前は?」
「――え?」
「であれば、お前がやったのでもないということか?」
「どう、して? どうして、そんなことを言うの?」
会いたいと願っていたひとに、やっとこうして対面が叶ったというのに。
なのに、どうしてわたしを疑うようなことを言うのか。
それに、何故そんな鋭い目で、わたしを見るの――?
「お前には、聞きたいことがある」
「聞きたい、こと?」
「この館を眠れる森の赤い館にしたのは、お前か?」
眠れる森の、赤い館?
何それ。どういうことなの?
「答えによっては、お前を許さない」
「キーツ……?」
「俺には、お前を殺す覚悟がある」
「え――」
わたしを見下す長身の視線は、蔑みの刃。
窓から差し込む月明かりだけが、優しくわたしを照らしていた。
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