閑談 そのあと、彼女たちは。
「色々教えてくれてありがとうございました。」
そう言って、満足げな表情を浮かべている。
「全然。それで参加させてもらえるんなら、問題ないよ!」
もう一人は、そんなこと苦でもない。と笑った。
「でも、なんでそこまでして参加したいんですか?これまでより早起きしないといけないので、大変だと思いますよ。」
即答できるような返事を持っていなかったのか、うーん、と少し悩んだ
「あれだよ、あれ!私がいれば女子目線で相談に乗れるじゃん?そういうことそういうこと。」
「いや、全くそういうことじゃないんですよ。その女子目線で相談に乗ってほしいかどうかっていうのは、ウチ視点の話であって、参加したいことの動機にはならないんですよ。」
求めていた返事から程遠かったのか、はぁ。とため息をつく。
「んー…。動機、動機かぁ…。」
辺りに静寂が広がる。
しばらくの間、沈黙が続いていたが、突然の踏み込んだ問いによって、それは破られた。
「○○だからじゃないんですか?」
「そ、それは言いがかりだよー。」
その質問に衝撃を受けたのか、少しだが、でも確実に挙動不審になっている。
「じゃあ本当に、何で参加したいんですか?言ってくれないと分かんないですよ。」
「うーん…。」
なかなか答えは出そうにない。
「やっぱり○○なんじゃないんですか?」
「ち、違うよ。もうー。」
同じ質問への否定が続く。それに見かねたように話し始めた。
「…。幼馴染だって聞いたウチが、どんな人か確かめたかったとかどうですか?」
「あ、そうそう!よく分かったね!それだよそれ!」
「とかどうですか?」と、建前の提案をされているような聞き方だったことに気付いている様子は無い。
「はぁ…。それでもまぁ良いですけど。」
明らかにその様子は、呆れを含有している。
「じゃあ、参加させてもらっても大丈夫そう?」
「良いですよ。いろいろ面白い話、聞かせてもらいましたしね。」
どうやら彼らの交渉は、成立したようだ。
「ただし、今進めてもらってる依頼が終わってからにしてほしいです。そのタイミングは、またウチから連絡します。」
「わかったよ!ありがとね!」
「そしたら、もうすぐ時間なので、終わりにしましょう。ウチ、戸締りとかあるので、先戻ってもらって大丈夫ですよ。」
「ごめんね。ありがとう!そしたらまた今度ね!バイバーイ!」
そうして部室の中の人間は一人だけになった。そしてその人物は、ふぅ。と一息、息を吐く。そして、一言つぶやいた。
「絶対、○○じゃん…。」
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