第22話
朝目がさめると、これまで感じたことのない頭痛が襲って来た。
「なんでこんなに頭が痛いんだ?」
私はとりあえず、水を飲んでシャワーを浴びた。それでも頭の痛みは取れなかったため、病院に行こうかと思ったが、まずは昨日の行動に原因がないかを確かめるためにヒロシの行動をチェックしようと日記を開いた。
しかし、日記には珍しく何も書かれていなかった。これまで一度も日記が書かれなかったことは無かったため、私はヒロシに何かあったのかと思い、先生へ連絡を取った。
すると、頭痛の原因は昨日初めてお酒を飲んだこと、日記が書かれていないのは恐らく帰った時間が夜11時を回っていたため書く時間が無かったのだろうと教えてくれた。
ちなみに、ヒロシはお店ではそこまで大量のお酒を飲んでいなかったようなので、どうやらこの身体は、そこまでお酒に強い身体では無いらしい。これはヒロシに教えておかないと、私が毎朝、頭痛と戦うハメになってしまう。
「なんて不便な身体なんだ、本当に。」
そんな愚痴を呟きながら、日記帳に『お酒はどうやら強くないので、飲み過ぎ注意!』と書いておいた。
『二日酔いがこんなに辛いものだとは思わなかった。』
私は何度も吐き気に襲われ、立ち止まっては休み、頭痛を我慢しながら何とか定時刻までに研究室にたどり着くことが出来た。
「大丈夫?」
研究室に入るなり、私の異変を感じ取ってくれたのか、エリカさんが声をかけてくれた。
「昨日、初めてお酒を飲んだせいか人生で初めて二日酔いというものを経験していて。二日酔いって結構、辛いですね。」
「ヒロシさん、そんなに飲んでなかったのに。それにしても、自分が飲んだ訳でもないのに二日酔いだけ味わうって何か理不尽ですね。」
「え?エリカさん昨日、ヒロシと飲んだんですか?」
「うん。先生にヒロシさんのデートの練習のためには、女性の意見があった方が良いだろうとって誘われたので。」
「そうなんですね。」
私は二日酔いが悪化したような気がした。
「二日酔いの時は水飲んで、吐けるようなら吐いちゃった方が楽になれると思うよ。ちょっと待ってて。」
そう言うと、研究室を出て行った。私はその後ろ姿を見ながら、エリカさんがヒロシと何を話したのかが気になって仕方なかった。
数分後、エリカさんは水と二日酔いに効く薬を買ってきてくれた。
「サトシさん、これ飲んで少し横になって。午前中の検査はその体調では、どっちにしろ出来ないので大人しく寝ててください。」
私はお礼を言って、薬を飲んでからソファで横にならせてもらった。
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