第14話

公園に着いた俺は早くヒカルさんに会いたくて、公園内を走り回った。しかし、まだヒカルさんは来ていないようだった。

『というか、電話に対して何もリアクションしていないのも悪いよな。』

俺はスマホを取り出すとヒカルさんに電話を掛けた。

数コール後、ヒカルさんが電話に出た。


「もしもし、ヒカルさんですか?」

「はい、先日は急に電話してしまってごめんなさい。」

「全然大丈夫です。こちらこそ電話に出られず、折り返しが今日になってしまってごめんなさい。留守電聞きました。俺はこれまで自己流でしか絵を描いてきていないのですが、そんな自己流でも良ければ、絵の描き方をお伝えできればと思って、公園にすでに着いちゃいました。」


「え?公園にいらっしゃるんですか?私、てっきり電話の折り返しが来なかったので、今日は難しいのかなって思って、行かない予定にしていました。ヒロシさん、今日って午後空いてますか?」


「はい、大丈夫ですよ。私は今日、1日中絵を描く予定だったので。じゃあ、この前会った場所で絵描いて待ってますね。」


「忙しいのにすみません。私もなるべく早く公園に行けるように頑張りますね!早く、ヒロシさんに色々と教わりたいし、今日描いている絵も見たいな。じゃあ、また後で。」


「はい。」

電話を切った俺は、自分の心臓がいつもより早い鼓動を打ち、手には手汗をかき、顔が若干熱くなっているのを感じた。

また早く来て欲しい気持ちと来た時に何を話せば良いんだろうという気持ちとが交差し、その繰り返しが心臓の鼓動を更に早めているのが分かった。


『俺、緊張してる。これがきっと恋してるってことなんだろうな。』

俺は幸せな緊張感を感じていることを楽しんでいた。

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