第6話 気になるところ
未だに熱さが消えない10月初週の夜、俺の部屋に控えめなノックの音がした。
「どうした?」
部屋のドアを開けて訪問者である美空を出迎えると、美空は少し申し訳なさそうな顔をして口を開いた。
「夜遅くにごめん。さっきから耳の中がゴロゴロしてて、気になってるから耳かきをして欲しいんだけど、良い?」
「勿論、良いぞ。最近は俺がしてもらってばっかりだし、任せろ」
「ありがとう優斗」
そうして、美空に耳かきをするためにリビングから耳かきセットを取ってくると、美空が俺の枕を抱きしめながら布団に寝転がっていた。
俺が戻ってきた音に気付いた美空はこちらを見て一瞬硬直したが、まぁいっかというように再び枕に顔を埋めた。
「美空、そのままじゃ、耳かきできないぞ」
そんな美空の行動に苦笑しながら話しかけると、美空は顔を枕から離すことなく返事をする。
「膝枕が良い」
もう夜だから、眠気が来ているのか素直に甘えてくる美空に心を打ちぬかれながらも俺は布団の上で胡坐をかく。
そうすると、美空がもぞもぞと動いて俺の膝の上に頭を載せる。
耳かきを始めようと美空の耳を見下ろすと、やはり男の耳とは違うこじんまりした可愛らしい小さな耳があった。
その耳をそっと触って見やすいように顔の後ろ側に引っ張る。
「んっ」
急に耳に触られ少し驚いたのか、美空が小さく声を出す。
そして、スマホのライトで耳の中を確認していると、美空が少し体を揺らす。
「…なんか恥ずかしい」
その漏れ出た言葉の言い方の可愛さに内心悶えながら、耳の外側から少しづつ耳かきをしていく。
耳かきを進めていくと、外からは見えないところで耳かきに引っかかりを感じた。
恐らく、これが美空が耳で気になっていたものだろう。
獲物を逃さないようにまず周りを綺麗にしてから本丸に取り掛かる。
しばらく、格闘しているとついに収穫できた。その大きさは耳かきのさじ程度の大きさがあり、気になっていたのも納得できる。
反対側の耳かきが終わるころには美空はもう半分眠っていた。
「美空、耳かき終わったぞ」
美空を起こそうと声をかけても反応が無いので、美空の部屋に連れて行こうと体を持ち上げる為に支えた瞬間、美空はその俺の腕を掴んで俺に抱き着きながら俺を布団に押し倒してきた。
全身で美空を感じて、その柔らかさや匂いに動揺していると美空が口を開いた。
「優斗ぉ逃がさないぞぉ~」
更に、しっかりと美空に抱き着かれた俺は脱出を諦め、今夜は美空の抱き枕になる覚悟を決めた。
翌朝、俺より先に起きた美空に口づけで起こされたのは大変刺激的でした。
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