第4話 騒がしい朝
翌朝7時頃、目が覚めて顔を洗ってからリビングに行くと海が麦茶を飲んでいた。
「おはよう、優斗」
「おはよう。ちゃんと寝れたか?」
「あぁ、やっぱり日本人だからか布団でもすぐに寝れたわ」
「なら良かったよ」
美空たち女性陣は未だに寝ているらしい。
昨日、俺たちが寝る頃になっても、盛り上がってたみたいだしな。
「お姫様方が起きてくるまで何しようか」
「男だけで朝ご飯を準備しておくってのはどうだ?」
「良いね。そうしようか」
今、家にある材料と相談した結果、フレンチトーストを作ることにした。
海がボウルに卵、砂糖、牛乳、バニラオイルを入れてかき混ぜている間に俺は食パンを適度な大きさに切っていく。
切った食パンは両面に箸で穴を少し開けて卵が染み込みやすくした後に卵に浸す。
そして、冷蔵庫で20分ほど染み込ませるので、少し休憩になった。
「意外と難しいなフレンチトースト」
「そうだな。レシピを見た感じだと簡単そうだったんだけどね」
「優斗はともかく俺は料理を普段しないから特にだな」
なんてことをグダグダと話していると、割とすぐに20分経っていた。
冷蔵庫から染み込ませたトーストを取り出して、フライパンで焼き始める。
そうすると、甘い匂いが部屋の中に漂い始めた。
その匂いに釣られたのか、美空の部屋から物音が聞こえて来た。
両面焼きあがって皿に盛りつけている間に美空と清水さんがリビングに入ってきた。
寝起きだからか、美空の眼はいつもより開ききっていなくて幼げに見えた。
4人で席に着いて朝食を食べ始める。
「すみません。起きるのが遅くなりました」
「2人とも朝ご飯ありがとう。美味しいよ」
「良いんだ。いつもは美空たちに作ってもらうことが多いしな。なぁ海」
俺の言葉に海は同意見だというように深く頷いた。
「今度はまた唯たちが作ってくれよ」
そう海に言われた美空と清水さんは2人で軽く目を合わせた後に俺たちの方を見て頷いてから、朝食を再び食べていく。
いつもとは違う4人での食事だったが、別の温かさがある朝食だった。
海と清水さんが昼前に帰った後、美空の方に振り向きながら、俺は美空に気になっていたことを聞く。
「美空、何か今朝から俺の方を見たらすぐに視線を外してない?」
そうすると美空は振り向いた時にあった視線を外し、下を見つめながら答える。
「優斗は悪くないの。唯、私が気にしているだけで」
そういわれても俺としては気になるんだが…
そんなことを思っていると、美空が意を決したように話し始めた。
「昨日、唯ちゃんから普段橋本君とどんなことしてるかを聞いたら、凄い進んでいる話をされて、戸惑っちゃっただけだから気にしないで大丈夫だよ」
「そ、そうか。それなら良かった」
その後、何処か緊張した空気感が昼ご飯を食べ終わるまで続いていた。
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