第14話 初めてのデート?

「待ってたぜ、色男」


 テスト後の休日、早朝と言える時間帯に俺は海の待つ、お店を訪れていた。


「いやぁ、夜に優斗から電話来たときはどうしたかと思ったけど、異性とのデートにふさわしい恰好がしたいとねぇ」


 事情を知っている海は面白そうなものを見つけたような笑顔で俺を店の奥へ案内する。

 この店は海の親がやっている洋服店で解に相談をしたらデートの当日の朝にここへ来いと言われたのだ。

 

 普段だったら自分で無難な服を着て終わりなんだが、わざわざ美空がデートと言うからには美空は気合を入れてくるだろう。

 そうすると俺が普段のままだと美空と並んだ時に見劣りしそうな気がした為、親の影響で詳しい海に頼んだのだ。


「優斗は服はそのままで良いと思うから、今日はそれ以外を整えれば印象が変わると思うぜ」


 そう言って海は整髪料を取り出して、俺の髪を整え始めた。


「優斗のいつもの髪型だとか顔が少し隠れているから今日は印象が明るくなるように整える感じにするぜ」


 みるみるうちに俺の見た目の印象が変わっていく。少し重さを感じられた髪が軽くなり、明るそうな青年っぽく見える。

 今日の爽やかな雰囲気のある服装にもよくあっている


「サンキュ、海」

「良いってことよ。今日のデートが良い結末になることを願ってるぜ」

「いい知らせを期待しとけ」





◆◆◆





 美空との待ち合わせまでの時間をバイト先の喫茶店で潰して、集合時間の15分前に着くように待ち合わせの場所がある駅に向かった。


 待ち合わせ場所で待っていると待ち合わせ5分前ぐらいに見覚えのあるワンピースとカーディガンを着た人目を惹く少女がこちらに駆け寄ってきた。

 

「優斗、お待たせ」


 俺に近づいてきた美空は普段、俺の家に来る時とは違って化粧も元の素材を消さない程度にされていて、何処かいい匂いもする。日よけの帽子も美空の為にあるかのように似合っていて、思わず俺は唾を飲み込んだ。


「似合ってるよ、美空。可愛いし、綺麗だ」

「優斗も似合ってるよ。今日は楽しもうね」


 こちらを上目遣いで本当に楽しみにしていることがわかる表情を浮かべている美空に俺の心臓は一息でリズムが早く鼓動を打ち始める。

 その鼓動の音が隣にいる美空に聞こえていないかという不安が浮かびながらもなんとか笑顔を浮かべて美空に返答する。


「そうだな。今日は一緒に楽しもう」

「うん」


 隣にいた美空が俺の腕を取って改札に向かって歩き始めた。

 普段、触れないようにしている女子特有の柔らかさを直に感じて顔が赤くなるのを感じながらもこの幸せを噛み締めて俺も美空と触れ合いながら改札に向かった。



 ………俺、今日生きて帰れるかなぁ。


 


 

 

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