第8話 幼馴染との過ごし方 (GW編)

 ゴールデンウイーク最終日、俺はサークルの顔合わせを兼ねた飲み会に参加していた。

 居酒屋と言っても俺はまだ未成年だから酒は飲めないから唯の夜までやっている食事処と変わらない。

 美空も結局、俺と同じサークルに入ったので同じ店にはいるのだが、女性の先輩方に連れ去られていった。

 後、海と清水さんも同じサークルだった。本人たちが俺と美空には黙っていたのもあって、開催場所である居酒屋に入った時に二人の姿が見えたことに驚いた。


 夕飯を食べてなかったからおにぎりといくつかのおかずを頼んだ。

 おにぎりを頬張りながら周りの話を聞いていると肩に強く叩かれた。


「よお、彼女さんを放っておいていいのかい優斗くん」


 肩を叩いてきた人物を振り返ると海がニヤニヤしながら立っていた。


「良いんだよ。俺はいつでも会えるし、女同士の付き合いもあるだろ。実際、海だって清水さんといないだろ」

「まぁ、そうなんだけどな。それにしても優斗、居酒屋に来ておにぎりってのは面白い画ずらだな。一周回って居酒屋に通っている人みたいだぜ」

「いや、俺の従兄が居酒屋のおにぎりは旨いって正月に熱弁してたから気になってたんだ」

「で、実際はどうなんだ」

「言ってた通り美味しいよ。けど、慣れてない味付けだからかコレジャナイ感があるんだよな」

「それは…なんでもねぇ。後で家で作ってみたらどうだ?何かわかるかもしれないぞ」

「そうかもな。試してみるか」


 




◆◆◆




 23時に近くなり解散となった後、俺は自宅でおにぎりを作ろうとしていた。


「優斗なんでおにぎり作ろうとしてるの?」

「もうこんな時間だし、軽い夜食にでもと思ってな。それに居酒屋で頼んだ時に美味しいのに物足りなくてさ。家で作れば、理由がわからないかなって思ったから」

「………」


 米を用意していざ握ろうという時


「私がつくる。お弁当とかのおにぎりは私が作ってたし」


 そう言って美空はおにぎりを握りだした。


 出来上がったおにぎりを頬張ると慣れ親しんだ味が俺の口に広がる。居酒屋の時に感じた違和感を覚えることがなく、唯々美味しく食べ終わった。


「美空、美味しかった。」

「そう。理由はわかった?」

「全然、わからん。まぁ、久々に美空のおにぎり食べれたからどうでもいいや」

「………また明日」


 何故か、美空は何かから逃げるように自分の家に帰っていった。

 帰り際に見えた美空の顔が赤く染まっていたが、体調でも悪かったのだろうか。




 美空に私の手作りが良いんだもんねと言われて自分の言葉の意味を理解させられたのは後の話。





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