第24話 数の脅威
ゆっくり考えて出す決断は?
「 もう二度と誰かを見捨てたりはしない。
俺は変わったんよ? 」
そう言うと大勢の翔の仲間がGOサインを出されて、音弥目掛けて走って来ます。
直ぐに戦闘態勢になる音弥。
「 ドラぁーーっ! 」
音弥の長い足蹴りが炸裂!
一人が思いっきり飛んで行く。
少し周りがビックリします。
「 次は誰かな? 」
少し恐怖を感じてびびってしまう。
「 数で攻めれば怖くねぇ。
行けぇーーいっ!! 」
その号令で勢い良く飛び付いて来る。
「 うわぁーーっ!! これはさすがに。 」
音弥に大勢の男達が飛び付いて、山積み状態になり下敷きに。
どんなに少し喧嘩が強くても全く相手になりません。
「 そろそろ良いか。 もういいぞ。 」
仲間達が音弥の上から退けると、ボロボロの音弥が現れました。
「 はっはっは! みっともない姿だな。
そんなにボロボロになって。
あの女を守る価値があんのか?
何の変哲もない転校生だろ?
今からでも遅くない。
考え直せよ。 」
下敷きになり、制服もドロドロでアザだらけ。
髪もぐしゃぐしゃで顔も腫れ上がってしまう。
「 いっ…… てぇ…… 。
あいつは何の変哲もないよ。
だけどいじめを見てみぬふりしないあいつは、あのクラスの誰よりも優しい奴なんだよ…… 。
だから…… 守るって決めた。
こんなケガ痛くも痒くもない。 」
その返答を聞き翔は怒り爆発!
思い通りにならないのが一番イライラするのです。
「 ならトドメさしてやんよ!
うらぁっーー! 」
思いっきり殴ろうとすると、音弥は立ってるのがやっとの様子。
( さすがに…… ヤバいかな? )
チャリン! チャリン!!
自転車のベルが遠くから聞こえる。
「 こらーーっ! そこのお前ら!
何してるんだぁーーっ!? 」
近くの小さな交番勤務の巡査長の警察が、自転車で勢い良く飛ばして来る。
「 やべーーっ! ポリ交だ。
ずらかるぞ。 」
四方八方に逃げて行く不良共。
音弥は安心してゆっくりと倒れる。
「 逃げやがって…… 。
追いかけたいけど怪我人が最優先だな。
ん? 音弥じゃんか。 」
巡査長の
35歳の彼女無し。
根は真面目で警察になるために生まれて来たような男。
不良の子供達の取り締まりは、交番勤務の大原の基本的な仕事の一つ。
出世しないのはどんくさく、子供達や町の安全を第一に考えているのが原因。
不良の天敵であり、街の味方でもありました。
少し時間が経って目が覚める音弥。
「 痛ってぇ…… 気絶したんか?
大ちゃんじゃねぇか。 」
ここら辺の子供達で大作を知らない人は居ない。
暑苦しく世話好きの男。
「 音弥! また喧嘩か?
もうやんないかと思ったぞ?
誰にやられたんだ。 」
音弥は黙っています。
「 チクっても解決になんないのよね。
にしても彼女早く作れよな。 」
「 余計なお世話だよ!
婚カツパーティー予約済みだわ。
美人のカミさん捕まえんだ。
ちょっと待ってろよ。 」
二人は笑い合いました。
何とか助かった音弥。
偶然通りかかった大作のお陰で何とか助かりましたが、またこうなるとは限りません。
音弥は秘策を考えていました。
川を見ながら大作は世間話をし始めました。
「 喧嘩ばかりするなよ?
どんな奴でも更正出来るんだよ。
ここで不良やってた奴も、今では立派に働いてる奴ばかりだからな。 」
長々と世間話をしている。
正直子供には退屈な話。
聞いていると眠くなってしまう。
「 ん? 更正?
その手があったか!!
あいつらに地獄を見せてやんよ! 」
何か良いアイディアを思い付く。
一体どんな作戦なのでしょうか?
夜になり明日香はいつものようにお勉強。
かと思いきや自分の今日書いたノートを違うノートに、書き写ししていたのでした。
俊彦君の為に要点も付け加えて。
一生懸命書いてる様子をお父さんとお母さんで、こっそりと覗いていました。
「 今度は何をしているんですかね? 」
「 何だろうな…… 。
一生懸命な姿は俺そっくりだなぁ。 」
二人は黙って見守るのでした。
次の日。 夜遅くまでかかって書いたノートを持って今日も学校へ。
学校に着き、みんなに朝の挨拶をします。
「 みんな…… おはよ…… う。 」
当然返答はありません。
少し音弥の影響で大胆ないじめは少なくなりましたが、まだ全然終わった訳ではありません。
毎朝それを再確認させられてしまいます。
遠くから早織と梨香がニヤニヤとしている。
「 ねぇ? 音弥君遅いわね。
どうかしたのかしら? ねぇ。 梨香。 」
「 そうね。 何かあったのかしら? 」
その表情から直ぐに分かりました。
何かあった事を…… 。
「 ちょっと! 音弥君に何したのよ!? 」
麻衣ちゃんが追及しました。
「 俺様が教えてやるよ。
あいつは逆らった罰にボコボコにしてやったよ。 」
登校してきた翔から衝撃の事実が話されました。
二人は唖然としてしまいます。
「 酷い…… なんでそこまで…… 。 」
明日香が泣きそうになりながら話すと。
「 麗美がお前の事気にくわねぇんだよ。
だから助ける奴は邪魔なんだよ。
結構ボコボコにしたから、今頃は病院かな?
ふはっはっはっは!! 」
大きな高笑いをあげて、周りの仲間達も一緒になって笑っている。
そこへ…… 。
「 良く響く声だわなぁ…… 。
頭に響いて仕方ねぇってば。 」
そこに現れたのは頭に包帯を巻いて、顔か腫れ上がり湿布や絆創膏を張り、応急措置をして立っていました。
「 音弥君? どうして…… 怪我は大丈夫なの? 」
「 ん? 頑丈だからな。
直ぐに良くなっから大丈夫だわ。
心配すんなよ。 」
そう言い明日香の頭を撫でる。
明日香は心配そうに見つめていました。
その後に普通にいつものように授業が始まりました。
音弥は少し生活しているだけでも辛そうに見えました。
でも決して弱音を吐きません。
明日香を心配にさせたくはなかったからです。
昼休み…… 音弥の席に翔が現れました。
「 良く来れたなぁ?
またボコられてぇのかな。
それとも…… 転校生ボコっても良いんだぞ? 」
耳元で囁きました。
「 明日香を怖がらせるな。
やりたかったら俺をやれよ。
本当の恐怖を見せてやるよ…… 。 」
「 良い度胸だ。 この前と同じ河川敷に来い。
ぜってぇ逃げんなよ? 」
そう言い帰って行きました。
音弥の体は無理して来たので、どこもかしこも痛くて生活するのがやっと…… 。
勝算はあるのでしょうか?
音弥は直ぐに一本の電話をします。
「 もしもし…… 俺。
出前頼める? 場所と時間言うわ。 」
何やら出前を頼んでいました。
何を考えているのでしょうか?
放課後。 明日香は音弥と帰ろうと思いましたが、何処にも見当たりません。
「 麻衣ちゃん。 音弥君知らない? 」
「 ん? 見てないよ? 」
いつの間にか黙って帰っていました。
音弥は約束の河川敷へ。
そこにはこの前より少ない、10人くらいの不良が待ち構えていました。
「 おいっ! あんま調子に乗ってっと、立てなくしてやるぞ?
今日は俺達マジだぜ。 ねぇ翔さん? 」
子分がデカい態度で脅してきました。
「 あぁ。 その通りだ、盛岡。 」
「 あの…… 俺は岡山です…… 。
いい加減に覚えて下さいよ。 」
堂々と仲間の名前を間違えていました。
翔はお構い無しに音弥を睨み付けている。
「 翔っ!! 俺は体が痛くて動けない。
今襲われたらおしまいかもな。
だから…… 取って置きの助っ人呼んでおいたわ。」
「 何!? 助っ人だと?」
すると遠くからタバコを吹かしながら、ゆっくり近付いて来る人陰が。
大きなバスケットを持ち、グラサンをした怖い男がゆっくり…… ゆっくりと近寄って来る。
翔達はビビりまくり、足がぶるぶると震えだしていました。
「 音弥…… お前、何だよあいつは? 」
声まで少し震えながら問い掛けてきました。
何処からどう見ても、まともな風格には見えませんでした。
あれは…… もう何人も殺しているような、目が合っただけで命がないくらいの怖い男がゆっくり近付いて来ます。
「 ん? あれ? …… 元殺し屋かな。
お前らが暴力を振るうなら、俺はあいつを頼る。
逃げるなら今だぞ? 」
そう聞くと子分達は一目散に走って逃げて行く。
翔はどうにか立っていました。
すると、殺し屋が話しかけてきます。
「 おーーいっ! 呼んだのはお前か!? 」
そう言いグラサンを外しました。
その目は今までに見たことないくらいの、殺意に満ちた眼差しでした。
その時、翔の野生の直感が働きました。
( ヤバい…… 殺される!! )
どうにか走って近付かれる前に逃げました。
足は速かったので追い付かれないと思い、後ろを振り向かえらずに走り続けました。
音弥はその光景を見てニヤニヤしていました。
男は音弥に駆け寄って来ました。
「 音弥。 出前頼んだのあの子じゃないのか?
すげぇ勢いで逃げてったけど…… 。 」
「 良い仕事してくれたぜ。
おっちゃん! 」
怖い見た目でお馴染みの熊さんでした。
音弥の作戦勝ちで終わりました。
熊さんの見た目の怖さを利用したのでした。
これにより、暴力で襲われるのはなくなりました。
だが…… 麗美も黙ってはいません!
麗美も少しずつイライラが溜まっていくのでした。
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