第22話 仲直り


二人は泥だらけになってしまったので、このままでは授業も出来ないので、こっそり抜け出す事にしました。

鞄は音弥が代わりに取りに行ってくれる事に。


「 本当に汚ねぇなー 。 あははは! 」


「 笑うなぁ! 」


音弥は他人事なのでゲラゲラと笑っていました。

二人は照れくさそうに笑いました。

麻衣ちゃんが音弥に近付き話したい事が…… 。


「 音弥君。 ブレスレット…… 。 」


ブレスレットを見つけてくれた事に、お礼を言おうとすると。


「 しーーっ! 」


口の前に人差し指を当てて、内緒だと合図を出しました。

時には言わなくても良いこともあるのでしょう。


二人は泥だらけなので少し綺麗になれる場所を探しました。

音弥には良い場所がありました。

そうです。 ママの居る床屋です。

あそこなら女性物の服もある? 筈で、シャワーも貸してくれるでしょう。

髪とかも洗って整えてくれます。

まさに最高の場所なのでした。

直ぐに二人は床屋へ。

二人は初めて学校をサボってしまいました。

たまには良い事でしょう。

それで元気になれるのなら。


音弥より先に床屋へ着きました。


ガチャーーン!!


「 ん? いらっしゃ…… モッチー!

どうしたのよ、そんなに汚れて?

しかも仲間を連れて。 」


持田明日香なので何故かモッチーと言うあだ名に。


「 実は…… 少し転んじゃって。

どうにかなりますか? 」


恥ずかしくて本当の事言わずとも、同じ女性? には直ぐに分かってしまうのです。

女性の勘ってヤツでしょうか?

優しく微笑み、シャワーを貸してくれました。

明日香は先にお風呂場の場所を教えてもらい、先にシャワーを浴びました。

麻衣ちゃんは服と髪とかが少し汚れただけなので、軽く髪を流せば済むのでお風呂場に行かなくて済みました。

床屋のシャワー台で髪を洗ってもらいました。

とても器用で気持ちが良い…… 。

さすがはプロ。


そして椅子に座り、髪をドライヤーで乾かしてもらいます。


「 あんた…… モッチーの友達? 」


「 …… うん。 色々傷つけちゃったけど。 」


暗くなり少し下を見ました。

ママは直ぐに麻衣ちゃんの頭を叩きました。


バチん!!


「 痛いっ! 何するの!? 」


軽く叩かれてびっくりしてしまいます。


「 女がメソメソ言ってるんじゃないわよ。

そんなんでくよくよしてたら、彼氏なんて出来ないわよ?

モッチーがあんた怒ってるって言ったの? 」


首を横に振りました。


「 んじゃあ、良いじゃないの。

私達女は傷ついて、傷ついて、女の勲章は輝くってもんよ。 」


麻衣ちゃんは深く考えてしまいました。


「 そうですかね…… ちょい。

聞きたい事が! 男ですよね? 」


ママの怒り爆発!!

男と言われると直ぐに怒ってしまう。


「 あんたねぇ、なめんじゃないわよ!

どう見たら男な訳!?

メイクしてるし髪だってボブよ。

ボブの茶髪の男なんて居ると思うの??

ねぇーーっ?? 」


正直、難いや背丈や声の低さは完全に男。

肩幅も広いので遠くから見ても、ん? と思うくらい。


「 二度と言いません! ごめんなさい。 」


「 二度と言わないで許されるか!!

オカマなめんじゃないわよ!

私の張り手が炸裂するわよーーっ。

オラーーッ! 」


髪を拭きながら明日香は二人の所に来ると、麻衣ちゃんが首絞められたりして大騒ぎ。

麻衣ちゃんは必死に抵抗して、本気で怒っているママ。

明日香は二人を見ていて笑ってしまいます。


( クスクスっ! 本当に面白い。

麻衣ちゃんとまた友達に戻れて本当に良かったなぁ。

ママさん何故か怒ってるけど。 )


明日香の笑っている姿を見つけてママの標的は明日香へ。


「 ちょい、そこの他人事ひとごとガール。

笑ってるのも同罪よ?

オラオラーーッ! 」


明日香も腕で首を絞められて笑いながら抵抗。

ママはいつも本気!

麻衣ちゃんも二人のいざこざをみて笑ってしまう。

麻衣ちゃんは涙が出るくらい笑いました。

最近は明日香の事が気がかりで全く楽しくありませんでした。

その呪縛から解放されて、今は自由に笑ったり明日香と遊んだり出来る。

最高の時間でした。


音弥が二人の鞄を持って床屋に来ると、外からも聞こえるくらい騒がしくしていました。


「 オラーーッって、床屋での会話ではないんじゃ?

まぁーいっか。 俺も混ざろうっと。 」


音弥は入り直ぐにその光景を見て笑ってしまう。


「 あはっはっは!

ママは男って言われるのが嫌いなんだ。

収まれっ! ママよ。 」


そう言いながら大好きな男の写真集を投げる。


「 イヤァーーッ! 旬坊じゃない。

大好きなのよね。 キャーーっ! 」


猫に猫じゃらしのように直ぐに収まりました。

二人は一安心。


「 念のためにイケメン俳優の写真集持ってきておいて良かった。

助かったなぁ。 」


「 今度から鞄に入れておかないとね。 」


ママのプロの技により、二人の髪は綺麗に整えられました。


「 凄ぉーーいっ。 床屋とは思えない技術。

ママさん美容室やった方が良いですよ? 」


麻衣ちゃんが褒め称えて、早さより質の美容室をすすめました。


「 美容室はねぇ。 女の子の需要しかないのよ。

だから沢山来る床屋が一番なのよ。 」


オカマならではな結論。

少し納得してしまいます。


「 まぁー、 ママに襲われた被害者が多くて技術があっても、リピーターはそんなに多くはないんだわ。 」


「 音弥ちゃん!! それは言わない約束でしょ? 」


ここの男性客は被害者は多そうでした。


沢山楽しい話をして夕方に。

沢山盛り上がったので、みんなで熊さんのレストランに行く事にしました。

ママは初めて行くようでワクワクしていました。

ママの煙を噴き出しそうなオンボロ軽トラでみんなを乗せて走り出しました。

後ろの荷台に明日香と麻衣ちゃん。

助手席に音弥が。


ぐんぐんと跳び跳ねながら森の中を突き進む。


「 オカマの運転技術を嘗めないでよねーー! 」


「 おいっ! 乗客の命を預かっている事を忘れるなよ。

後ろにも乗ってるんだからな?? 」


音弥はびくびくしていましたが、後ろでは振り落とされないようにしながら絶叫マシーンさながらの、スリルを堪能していました。


「 最高! 本当にサイコーー! 」


「 凄い…… スリル!

楽しーー ねっ。 わーーっ! 」


麻衣ちゃんも死ぬくらい笑い、明日香も都会では絶対味わえないくらいの大きな声で叫びながら笑いました。

軽トラの荷台に乗るのは違反です。

絶対に良い大人や、良いオカマは真似しないように。


熊さんのレストランに到着。

中へ入るとスープの下ごしらえをしていました。


「 おっちゃん。 相変わらず暇だろうから、食べに来てやったぞ。 」


「 ん? 音弥か…… おっ! 明日香ちゃんも一緒か。

いらっしゃい! お友達も一緒だね。

これは嬉しいね。

…… 後、その難いの良いお客さんは……

一体誰だい? 」


熊さんはママを少し警戒している。

ママは熊さんの顔を見た瞬間…… 。


「 ズキューーンっ!! もろタイプです。

初めまして。 マリアって言います。

子供達からはママって言われてるけど。 」


ママは熊さんに一目惚れ。

自分より難いも良く、背も高くて好みでした。

熊さんもママを黙って見つめました。


「 ちょっと…… なに!?

私に一目惚れ?? 両想い!?

イヤーーん。 」


ママは勝手に照れて騒ぎまくりました。

熊さんはゆっくり口を開きます。


「 …… 一目惚れ? 一目惚れもなにも…… 。

男じゃねぇーーか! しかも難いもデカいし! 」


当然バレてしまいました。

ママは男と言われて怒って熊さんとじゃれあっていました。

この恋の行方はどうなるんでしょう??


何て下らない事をしつつ席に着いて料理が来るのを待ち、絶品の手作りパスタの数々を堪能する事に。

みんなは美味しい! 美味しい!

と沢山食べました。

ママは食べながらも直ぐに熊さんに抱き付きそうになり、みんなに止められたりと散々な日に…… 。

明日香は沢山笑い、沢山の仲間に囲まれて幸せを噛み締めるのでした。


その日は家に帰ってからお母さんに、学校を抜け出した事を怒られてしまいました。

それでも明日香は後悔などしておりませんでした。

明日香は疲れてぐっすりと眠りにつきました。

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