第21話 親友とは?
明日香は珍しくぐっすり眠れて少しお寝坊。
「 ふわぁ〜 おふぁよう。 」
寝ぼけた顔で朝の挨拶。
「 明日香。 あなた女の子なんだから、しっかりしなさいよ。
そんなんじゃいつまで経っても…… 。 」
「 いただきみゃーーす。 もぐもぐ。 」
朝からお説教は勘弁してほしくて、無視してご飯を食べ始める。
お父さんはお弁当を作り、直ぐに仕事に行ってしまいました。
海人寝癖たっぷりで朝のシリアルを食べていました。
「 もぐもぐ。 朝はシリアルより…… 白いご飯が良いなぁ。
お母さんは直ぐに手抜きするから。 」
みんなお母さんへの愚痴ばかり。
「 さっさと学校へ行きなさーーい! 」
二人は直ぐにご飯を食べて学校へ。
二人で歩きながらお話をしました。
「 お姉ちゃん。 もういじめられてない? 」
海人は心配そうに尋ねました。
明日香は弟にこんなにも心配させている事に、罪悪感を感じてしまいました。
「 大丈夫! お姉ちゃんは負けないよ。
転校生ってこんなもんなのよ。
これが大人の世界なのよ。 でもありがとう。 」
そう言いながら頭を撫でました。
海人は満面の笑みを浮かべました。
そして海人は小学校へ。
「 お姉ちゃん!! 何かあったら言っておくれよ?
僕がお姉ちゃんを守るから! 」
そう言いながら学校へ行きました。
「 鼻垂れ小僧のくせに何を言うんだよ。
でも少し男らしく見えたなぁ。 」
明日香は少しほっこりとしながら学校へ。
教室へ入ると冷たい視線を感じる。
「 お…… おは… よう。 」
当然返答はありません。
そのまま静かに席へ。
早織と梨香はイライラして見ていました。
梨香と早織は髪型はほとんど一緒。
茶髪にキャバ嬢のような派手な髪。
メイクもほとんど一緒なので、見分けがつけにくい。
気が強いのが梨香で、少し気が弱いのが早織って感じでした。
リーダーの麗美は圧倒的な美人。
髪型もモデル並みでスタイル抜群!
さすがはリーダーでした。
麗美はスマホいじりながら少し明日香を見て、直ぐにまたスマホをいじりました。
二人は音弥が居ないことが分かると、直ぐに近付いて来ました。
「 あんた良くまだ来れるわね? 」
「 右に同じなんですけどーー 。 」
明日香は目を合わせずに下を向いていました。
「 ごめんなさい…… 。 」
明日香の顔は前と違い、髪型もメイクもしっかりしていて充分可愛い。
男子達の隠れファンも居るらしい。
当然、二人はイライラしている。
負けていると少し思ってしまったからでした。
「 音弥が居ないと仲間居ないわね?
一人ぼっちね! 」
「 本当に本当! 」
二人の朝からのラッシュが続きました。
そして鞄から勝手に飲み物を取って行く。
「 これ貰うわね! 」
そう言い行ってしまいました。
明日香は黙って取られてしまいました。
それを遠くから麻衣ちゃんは見ていました。
( 音弥君のせいだ…… 。
気になって仕方がない。
私が助けられる訳ないじゃん。
お揃いのブレスレットもないのに。 )
麻衣ちゃんは悲しく席に戻りました。
授業が始まり、一日の始まりです。
休み時間…… 。 職員室に一本の電話が。
「 もしもし。 二年の担任です。 」
「 朝早くからすみません…… 。
持田明日香の母で御座います。
いつも明日香がお世話になっております。 」
お母さんからでした。
担任は大慌て。
「 いえいえ…… 今日はどうなさいました? 」
「 単刀直入に言います。
明日香は…… 娘はいじめを受けています。 」
お母さんからの訴えでした。
当然、お母さんはいじめを受けている明日香を黙って見ているなんて出来ませんでした。
「 それは…… 多分気のせいかと。
ウチのクラスは仲良しです。
いじめなんてある筈は。 」
必死に言い訳をしました。
「 まだ調べてもいないのに? 」
ぞわぞわ…… 先生の背筋が凍りつきました。
明日香のお母さんは元々頭が良く、気が強くて家族の中のしっかり者。
子供がいじめられて黙って居る程、優しくもありません。
「 それは…… 。 」
「 調べてもらえますか?
それからまた話しましょ? 」
そして電話が切れました。
お母さんは静かに怒りを燃やしていた。
大切な娘を守る為に…… 。
( 何だよ! 何も知らないで。
いじめなんて解決出来る訳ないでしょ!
この私が…… 。 )
先生は静かに拳を握りました。
何やら事情がありそうです。
音弥が来ないでお昼になってしまいました。
明日香は心配して外を眺めていました。
その頃、廊下を麻衣ちゃんは一人歩いていました。
「 よっ! 麻衣。 」
音弥がいきなり現れる。
「 何よ! 何の用なの? 」
音弥に少しキツく当たりました。
「 まぁー そう言うなよ。
手を出せよ。 」
ゆっくり麻衣ちゃんの手に何かを握らせました。
「 謝るって凄い怖いと思う。
でも親友は許しあえる。 俺はそう思う。
それ! 明日香が拾ってたんよ。 」
そう言い教室へ走って行きました。
手のひらを広げると、そこにはブレスレットが。
「 どうして…… あんなに探したのに…… 。 」
麻衣ちゃんはその捨てた日を思い出しました。
トイレで捨てた時、誰かトイレに入っていた事を思い出しました。
「 明日香…… あなた、あそこに居たのね。
ごめんなさい…… ごめんなさい。 」
一人で人に見られない所で泣いてしまいました。
自分がどれだけ明日香を傷つけてしまったかと、深く、深く思い知りました。
教室へ入ると明日香が居ません。
音弥は探しても見つかりません。
( 何処行った…… 。 )
その頃、明日香は体育館裏に呼び出されていました。
「 あんた本当にウザイんだよ! 」
そう言い特性泥団子を男子にぶつけられる。
「 わっ! やめて…… 。 」
早織と梨香に命令されて、クラスの翔の腰巾着が牙を向けました。
顔や制服にぶつけられてドロドロに。
「 あんた邪魔者なのよ。
行け! もっとぶつけちゃえ! 」
「 うぃーーっす! 」
男子達は弱い者いじめが大好き。
それで二人に気に入られれば一石二鳥!
明日香は髪もドロドロに地面に膝を付いてしまいました。
( 怖い…… 怖いよ。 助けて…… 。 )
音弥は遠くから見つけました。
( ふざけやがって…… 。 )
凄いスピードで階段を降りて、体育館裏に向かいました。
「 明日香ちゃん! あんたが居なけりゃ、あのクラスは平和なのよ。
分かんないのかしら? 」
「 本当に。 もう来ないでよ! 」
二人に言われて心がボロボロに。
その姿は見る影もありませんでした。
それを近くでこっそり麻衣ちゃんが見ていました。
( 明日香…… 明日香…… 。 )
すると、明日香が手を取り助けてくれた事を思い出しました。
「 麻衣ちゃんは私の親友だから! 」
その言葉が麻衣ちゃんの頭を過りました。
そしてまた、男子が泥団子を投げました。
明日香は怖くて反射的に目を
ぐちゃ!!
鈍い音が聞こえましたが、当たる感触はありませんでした。
ゆっくり目を開けると…… 泥団子を食らった麻衣ちゃんが目の前に立っていましあ。
「 麻衣…… ちゃん? 」
両手を大きく広げて明日香の身代わりになっていました。
麻衣ちゃんは咄嗟に体が勝手に動き守っていました。
「 麻衣…… どう言う意味?
喧嘩売ってんのかよ!? 」
「 明日香は…… 明日香は私の親友なんだから!
もう絶対にいじめさせない!
私がいじめられるのはいいよ。
でも絶対に明日香には指一本触れさせない!
絶対に守るんだから…… ! 」
震えながら覚悟を決めて立ち塞がりました。
みんなはびっくりして立ち尽くしてしまう。
麻衣ちゃんの腕には、あのブレスレットが…… 。
「 麻衣ちゃん。 そのブレスレット…… 。 」
「 これ? やっぱり返してもらうね。
これは私と明日香の親友の証だもん! 」
明日香は静かに涙を流しました。
チャイムが鳴り、みんなは教室へ帰りました。
「 麻衣! 覚えておけよ? 」
そして二人きりに。
「 麻衣ちゃんごめんね…… 。
庇ったせいで泥まみれだね。 」
麻衣ちゃんは明日香の事をハンカチで拭きました。
「 うっ…… ごめんね。
ぐすっ! ごめんなさい…… 。
怖くて…… 怖くて体がずっと動かなくて。
助けるって言ったのに。
ブレスレットも捨てたりしてごめんなさい。 」
泣きながら明日香の泥を落とし続けました。
明日香は自分のハンカチで麻衣ちゃんの涙を拭いました。
「 良いんだよ。 私ね。
ずっと信じてたんだよ。
だから全然気にしてないんだよ?
助けてくれてありがとう! 」
麻衣ちゃんは肩の荷が下りて、明日香に抱きつきました。
「 うわぁーーっん! ごめんね。
ごめんなさい…… ! 」
「 ブレスレット何処で見つけたの?
また着けてくれて嬉しい。 」
泣きながら抱きつきました。
明日香はそんな優しい麻衣ちゃんとまた親友に戻れただけで、嬉しくてたまらなかったのでした。
二人はまた親友へ。
深い、深い熱い絆で結ばれました。
それを隠れて音弥が見ていました。
「 何か…… 出遅れたなぁ。
まぁー いっか! 俺も二人の所行こ。
お昼まだ残ってっかな? 」
その日、また一人明日香の友達が増えました。
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