第20話 荒々しい学校生活


昼休みも終わり、教室に戻ると麗美の姿が。

遅めの登校。

音弥と麗美の目が合う。


「 音弥…… 何でまた学校に!? 」


「 学校に来るのに理由が居るかよ。 」


そう言い席に座りました。

麗美は凄く驚いている。


「 麗美さん。 これじゃあ、もうあいついじめらんないですよ。

ずっと近くで守ってますもん。

どうします? 」


早織がそう聞くと麗美は?


「 元々私はいじめとか関わってないし。

あんたらが勝手にやってたんでしょ?

でも…… 音弥は目障りね。 」


何やらイライラする理由があるようです。

一日が終わり二人で帰ろうとする。

遠くから麻衣ちゃんが明日香を見ていました。

目が合いそうになると直ぐに別の方向を見る。

音弥がその視線に気付きました。


「 明日香。 先に校門前まで行ってて?

俺は少し用事あるから。 」


「 分かったぁ! 」


明日香は先に降りて行きました。

そして音弥は麻衣ちゃんの席へ。


「 よっ。 ちょい話しがあんよ。

ちょっと良い? 」


「 …… うん。 」


音弥は麻衣ちゃんを呼び出して話をする。


「 麻衣はいじめとかする奴には見えなかったけど違うのか? 」


麻衣ちゃんは黙っている…… 。


「 俺は何度かお前と明日香が学校から下校する所何回か見てるんよ。

その時のお前はすげぇ笑ってたな。

あれが嘘だったとは全然思えないけどな。 」


悲しそうに音弥は語りました。


「 勝手な事ばっかり言わないで!

私は強くないのよ。 誰でもあんたみたいに強く、いじめと真っ正直から戦える奴なんていないよ?

少しいじめられただけで、私…… 凄く怖くて。

明日香とは親友だったのに…… 裏切っちゃったの。」


麻衣ちゃんは涙目で声を荒げながら語りました。

自分の本当の気持ちを…… 。


「 あいつ…… すげぇ悲しんでたぞ?

ずっと泣いてたしな。 」


音弥に背を向けて表情を隠しました。


「 また仲直りしなよ?

親友なんだろ? 謝って仲直りしろよ。 」


急に振り返り、泣きながら言い返しました。


「 出来る訳ないでしょ!!

私は…… 親友を無視したんだよ?

助けてくれた親友を…… しかも…… 。

大切なお揃いのブレスレットも捨てちゃったの。 」


音弥には思い当たる節がありました。


「 何処で捨てたんだ? 」


「 学校のトイレ。 直ぐに後悔して探しに行ったら、全然見つからなくて…… 。 」


明日香が公園で泣いていた時にポケットからはみ出していた、二つのブレスレットの一つが麻衣ちゃんのだと気付きました。


( あいつ…… ブレスレット捨てる所見てたんだな。

だから拾って帰って来たのか。 )


音弥は全てを理解しました。


「 麻衣は学校…… 楽しいか? 」


手で顔を隠しながら顔を横に振りました。

その反応で良く分かりました。

麻衣ちゃんもまた、いじめの被害者なのだと。

明日香のいじめられて苦しんでる姿を、誰よりも痛がり、苦しくていつも叫びだしたくなる程に…… 。


「 そうか…… 。 もう泣くなよ。

明日香は傷付いてるかもしれない…… 。

でも、お前を嫌いになったのかな? 」


音弥はそう言い残し帰って行きました。

一人残されて麻衣ちゃんは…… 。


「 嫌いになってるに決まってるでしょ。

こんな醜い弱虫を…… 。 」


明日香と音弥は二人で帰りました。


「 明日香。 麻衣の事どう思う? 」


少し考えていました。


「 …… 今は分かんないんだ。

大好きで親友だと思ってたのに、裏切られて凄い悲しかったんだ。

一人で川に行っていつも泣いてたの。

その時にさぁ…… 捨ててあった麻衣ちゃんのブレスレット川に落としちゃったの…… 。

絶望してて滑って落としちゃったの。

直ぐに探したんだけど、全然見つからなくて…… 。

でもそれまでだったのかなって思って、割りきっちゃったのかも。

未練たらたらなんて、気持ち悪いもんね。 」


明日香の表情は、まだ全然麻衣ちゃんを忘れられていないようにしか見えませんでした。


「 その川ってこの前一人で魚釣りしてた場所? 」


「 そうだけど? 」


その後は他愛ない会話をして帰りました。

音弥は家に帰らずに、山を登って明日香の行きつけの川へ。


「 にしても広いし、流れもちょっと強いなぁ。

よっしゃ! 探すぞ!! 」


音弥は明日香のブレスレットを探しに来たのです。

どうしても仲直りして貰いたかったのです。

川はまだ夏でもないので、冷たくて肌が痛くなる感覚でした。


「 さみーー。 何で落としてんだよ。

こんな広いのに見つかる訳あるかよ。 」


そう言いながら探し続けました。

何時間も探しても見つかりません。

音弥は岩の上に大の字になり、万事休す。


( やっぱり無謀だったかな…… 。

あいつには笑って欲しいんだ。 )


音弥も疲れ果てて、動けなくなっていました。

そこに誰か人影が?

音弥は咄嗟に直ぐに隠れました。

…… それは明日香の姿でした。


「 よーし! 今日も探すぞ。

それっ! 」


半ズボンで川に飛び込み、水の中の岩の隙間とかを探しいる。

その足は何度も転んだり、岩にぶつけたりして傷だらけになっていました。


( 明日香は失くしてから毎日探してんのか!?

あんなに傷だらけになって…… 。 )


冷たいのに泣き言一つ言わずに探し続けました。

音弥は黙ってずっと見ていました。

その後何時間が探して、明日香は夜も遅いので帰りました。

真っ暗じゃ何も見えません。

蛍光灯とかもないので仕方がありません。


明日香が帰った後に、音弥は一人どうするか考えました。


「 よっしゃ! 再開だ! 」


ザプーーン!!


また捜索開始!

岩をひっくり返りしたり、木の側を探したり。

何時間も…… 何時間も…… 。

早朝まで探してヘロヘロになっていました。


「 ヘェ…… ヘェ…… ドラマだと簡単に見つかって、ヒーロー何だけどなぁ。

そう上手く行くわけねぇわな。 」


すると一人の男性が釣竿を持って現れました。


「 若いの! お前さんが散らかしたから、魚が逃げちまったじゃねぇか。

最近の若いもんはこれだから…… 。 」


何やら魚釣りに来たおじいさんに注意されてしまう。


「 あっ。 すみません…… 。 」


「 本当に最近は…… ゴニョゴニョ。

そんでもって…… ペチャクチャ。 」


謝っても怒りは納まりません。


( 何だよこのおじいさんは…… 。

謝ってんのにいつまでも。

おじいさんになっても大人になれない人っているんだな。 )


少し納得出来ませんが川から出て、仕方なく帰ろうとします。


「 おい! 必死に何探してたんだ。

離れた場所からずっと見ておったぞ。 」


「 にゃろう! 見てたんだったら、文句つけんなよ!

友達の大切なブレスレット探してんだよ。 」


おじいさんは何か思い当たる節があったような表情になりました。


「 ブレスレット? これか? 」


おじいさんのポケットからブレスレットが。


「 これだわ。 んで、何でおじいさんが持ってんだよ。 」


「 この前に偶然釣れたんじゃ。

綺麗だから誰か落としたのかと思ってな。 」


音弥はブレスレットを渡して貰いました。

音弥は顔は泥だらけで、足も傷だらけに。


「 ありがとうおじいさん。

これで明日香も喜ぶよ。 」


「 ん?? 明日香ちゃん!?

それは明日香ちゃんのなのか!? 」


明日香と知り合いのようでした。

おじいさんの状態…… そうです。

森の番人。 森じぃでした。

相変わらず落ち着きが無くて参ってしまいます。


「 拾って良かったのぉ。

明日香ちゃんにも宜しく伝えてな。

いつでも魚釣って食べさせるからって。 」


「 はい。 その時は一緒に来ます! 」


そう言い直ぐに家に帰りました。


「 お前は来んでいい!

男は食べ過ぎるし、遠慮ってもんを…… 。

ゴニョゴニョゴニョゴニョ…… 。 」


相変わらず短期な森じぃ。

どんどん遠くなり森じぃの声はゆっくり聞こえなくなりました。


家に帰りヘトヘトで倒れました。


「 疲れたぁ…… このブレスレットどう返すかな?

どうやれば一番喜ぶかな? 」


考えながはブレスレットを眺めるのでした。

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