第15話 心の防波堤
明日香は家で不安になっていました。
( はぁ…… 明日から怖いなぁ。
梨香ちゃんとかにまたいじめられる。
麗美ちゃんまで来たらおしまいよ…… 。 )
タメ息つきながら外を眺めていました。
麗美はいじめないと思いますが、絶対ではありません。
気に食わなかったら全然やってるくる筈…… 。
今までも…… そうこれからも…… 。
「 お姉ちゃんやぁー い!
一緒に遊ぼうぉーー い。 」
「 子供は早く寝ろぉーー っ! 」
次の日…… 。
明日香は学校に着き、いつものように教室へ入る。
ガラガラーーッ!
明日香が教室へ入ると、沢山会話してた皆の会話が一度止まりました。
変な空気が漂って来る…… 。
「 みんなぁ…… おはよう! 」
明日香はそう言うと、皆の会話がまた始まりました。
( あれ? …… なんだろ。 今のは。
聞こえてなかったのかな?
声小さいからなぁ…… 気にしすぎだね。 )
そう思いながら机に教科書を入れたりしました。
そして麻衣ちゃんが登校してきました。
「 麻衣ちゃん! おはよう! 」
今度は大きな声で挨拶をしました。
麻衣ちゃんは一瞬こっちを見て近付いて来ました。
( 良かった…… やっぱり麻衣ちゃんは私のたった一人の親友だもん。 気にしすぎちゃっ…… )
麻衣ちゃんはそのまま明日香を通りすぎて、その後ろに居た新井田さんと言う女子と話し始める。
「 新井田おはよう。
昨日は何時まで起きてたのよ? 」
( えっ………… 。 そんな…… 。 )
すると遠くから早織と梨香は笑っていました。
( ざまぁ! 昨日皆にメールしてシカトしようってなったのよ。
もうあんたの味方は居ないわよ。
大好きな麻衣ちゃんもね。
結局みんな自分が可愛いのよ。 )
二人はニヤニヤしていました。
その不適な笑みを見て理解しました。
明日香は間違いなくもういじめられてる事を。
( そんな事って…… だって私は麻衣ちゃん助けたのに。
友達なのに…… 酷い。 )
明日香は泣きそうになりましたが、ぐっ! と我慢して泣きませんでした。
そこから授業が始まり、誰も明日香とは話してくれませんでした。
いつもは少し話したりするのに、それすらも失くなってしまったのです。
明日香はどうにか我慢していましたが、頭の中は割り切れなくてパニックになっていました。
お昼休み…… いつもなら麻衣ちゃんと食べるのですが、麻衣ちゃんは直ぐに違うグループへ。
( そうだよね。 元々麻衣ちゃんは私が居なくても、他の人と全然喋れるんだもんね。
麻衣ちゃんも仕方なく無視してるんだよ。
いじめられたくなくて。 そうだよ。
仕方ないんだよ! )
そう思い込みながら一人寂しくニワトリ小屋の近くでお弁当を食べました。
一人だと何とも寂しく、静かなお昼なのでしょうか?
いつもは麻衣ちゃんと騒がしく食べるのが当たり前になっていたので、凄い静かに感じてしまいました。
その日から約一週間。
この学校生活は続きました。
たまに教科書が失くなったり、靴の片方が失くなったりしましたが、仕方がないので気にせず生活しました。
明日香はどんどん暗くなっていきました。
精神的にもボロボロになってしまいました。
一人で耐えられる人なんてそう簡単に居ないのです。
ですが明日香にはまだ心の支えがありました。
麻衣ちゃんとの思い出のブレスレットです。
これを見るたびに楽しかった時の事を思い出し、いつかあの頃に戻れる事を夢見ていました。
( 大丈夫…… 絶対に麻衣ちゃんは私の事を本当は嫌いになってなんかいない!
だって、仕方なく言う事聞いてるんだもん。
怖いから仕方ないのよ。
その証拠に麻衣ちゃんの腕にまだブレスレット着けてるんだから。 )
そうなのです。
麻衣ちゃんと話さなくなりましたが、麻衣ちゃんの腕にはブレスレットがあったのです。
それを見るたびに明日香は頑張ろう! と思うのでした。
トイレに入っていると扉が開いて誰か複数が入ってきました。
声の感じからすると三人以上は居るようでした。
明日香は少し話しの内容が聞こえてきました。
「 本当になんであんたはあいつと絡んでた訳?
どんだけ物好きなんだよ! 」
「 ちょっと暇潰し程度だったし。
終わったんだから良くない? 」
何やら早織と麻衣ちゃんらしき声に聞こえました。
「 ウケんねっ! そのブレスレット何?
明日香も同じの着けてなかった? 」
「 あぁ…… これ? 少し気に入って買ったけど、安もんだしもういらないかな。 」
あのお揃いのブレスレットの話でした。
( えっ…… そんな事って…… 。 )
「 そうなんだ。 なら早く捨てなよ?
お揃いとかハズいでしょ。 」
「 うん…… そうだね。 」
ガサッ!
何やらゴミ箱に捨てた音が…… 。
麻衣ちゃん達は手を洗いに来ただけだったので、直ぐに出ていってしまいました。
明日香は直ぐにトイレから出て来てゴミ箱を見ました。
そこには二人の思い出のブレスレットが、悲しくも捨て去られていました。
( 嘘だよね…… 。 麻衣ちゃんと私は友達なんだもん。
絶対違うんだから…… 。 )
明日香はその日寂しく帰りました。
絶望して何も考えられなくなっていました。
いつの間にか明日香はいつもの公園へ。
手には悲しくも二つのブレスレットが…… 。
「 うっ…… うっ。ぐすっ。 」
明日香はベンチで一人寂しく泣き続けていました。
助けた筈の友に裏切られて途方に暮れていました。
すると上の方から音弥がやって来ました。
「 お嬢さん。 どうしたんだい?
最近顔見せずに今日はそんなに泣いて…… 。 」
明日香は悲しくて何も返答しません。
音弥は明日香の手にあった二つのブレスレットを見て、何となくですが悲しい事があったのだと悟りました。
「 明日香。 いじめの仲裁したのか? 」
黙って頷きました。
音弥はやっぱり無駄に厄介事に手を出したのだと思い、タメ息が出てしまいます。
「 あれ程言ったじゃないか。
明日香はそんなに強くないし、助けたりしたら次は明日香が標的になるなんて分かりきってたろ? 」
明日香は泣きながらやっと口を開きます。
「 ひっぐ! ほっとけなかったの。
私だったら助けて欲しいから…… 。
見て見ぬフリしてたら同罪だって思ったの。
だから体が勝手に動いたの。
たった一人の親友だったから…… 。 」
顔を隠しながら泣きながら語りました。
音弥はしっかりと聞いてくれました。
「 そうかぁ…… 。
明日香は何だかそうするって思ってた。
お腹空いたな。 ちょっと付き合ってくれる? 」
そう言い強引に明日香の手を引っ張り何処かへ連れて行きました。
「 ちょっと…… 私はいらないって。 」
全然食欲も無くて正直どうでも良かったのです。
音弥に手を引かれて仕方なく何処へ向かいました。
歩いていると見えてきたのはパスタ屋さん。
「 ここって…… 。 」
殺し屋のような剣幕の大男のおじさんのお店でした。
前逃げ出してから怖くてここら辺には、一切近付いた事はありません。
音弥は気にせず扉を開けます。
ガチャーーンッ!
「 おっちゃーー ん。 居るかい?
また狩りにでも行ってんのかな?
まぁー いずれ帰って来るだろうし入ろう。 」
そのお店は外から見てもログハウスのように綺麗で、中はとても綺麗に掃除が行き届いている。
食器やインテリアにも気遣い、とてもオシャレなお店なのでした。
明日香もその神々しい店内に見とれてしまいます。
「 綺麗…… 。 すごぉーーい。 」
テーブルクロスが綺麗にセットされている席に座り、店内を見渡していました。
明日香の物珍しそうに見る姿に音弥はほっとしました。
「 見た目はあれだけど、味と対応は最高なんだ。
ちょっと待ってて。 飲み物でも探して来る。 」
そう言い音弥は厨房に入って行きました。
凄い慣れた様子。
明日香は店内を探索していると…… 。
ガチャーーンッ!!
扉が開きそこには、2メートル近い殺し屋のおじさんの姿が…… 。
手には猪を持っている。
「 んーーっ? 誰だ!? 」
凄い剣幕で見られる。
「 嫌ぁーーーーっ!! 」
明日香はどうなってしまうのか?
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