第8話 平和か? 友達か?
月曜日になり学校の日が訪れました。
準備を整えていざ学校へ。
学校では友達は麻衣ちゃん以外誰も居ません。
なのでまだまだ不安でいっぱいです。
右も左も分からない状態。
( 怖いなぁ…… 。 麗美さんとか翔君とか。
怖い要素しかないなぁ。 )
学校に着いてから席に着きました。
机に教科書を入れていると。
「 おっはよー 。 」
麻衣ちゃんが席まで来てくれました。
腕には昨日買ったお揃いのブレスレットを着けてくれていました。
アピールするように腕を振りました。
嬉しそうに明日香も真似して腕を振りました。
「 おはよう。 私も着けてるよ。 」
親友の証なので家でもずっと着けていることは内緒です。
すると麗美がやって来ました。
「 おはようメガネちゃん。
あら? そのアクセサリーは何処のブランド? 」
「 お…… はよう。 これは…… 。 」
緊張してもごもごしてしまいます。
「 麗美おはよう。
これはショッピングモールで一緒に買った、ブランドでもない手作りのブレスレットだよ。 」
麻衣ちゃんが代わりに説明してくれました。
明日香は心の中で感謝しかありませんでした。
「 そう。 何か可愛いから見たことなかったから気になったの。
それじゃあね。 」
麗美の腕にはブランドのブレスレットが輝いていました。
彼氏に買ってもらったのか??
それとも金持ちの両親に買ってもらったのか?
二人には正直どうでも良かったのです。
二人は目を合わせてニッコリ笑うのでした。
理由を話さずとも通じ合っていました。
すると気の弱い俊彦君が登校してきました。
汗だくで大量の鞄を抱えて…… 。
「 はぁはぁはぁ…… 。 」
クラスの皆もその理由が何となく察していました。
その後に翔達も登校してきました。
「 サンキューなトッシー! 」
そう言い頭を叩き、俊彦君は苦笑いをしました。
この前の一件でいじめのターゲットに…… 。
( 酷い…… 酷すぎるよ…… 。 )
明日香は胸が苦しくて仕方がありませんでした。
麻衣ちゃんは明日香の肩に手を置いて頭を振るのでした。
これは仕方がないと…… 。
割りきるしかないのでしょうか?
その後もいじめは続きました。
パンを買いに行かせたり、肩を揉ませたりとやりたい放題。
麗美も翔の隣でそれを見て笑っていました。
明日香は出来るだけ見ないようにするしかありませんでした。
俊彦君は学校では誰からも話し掛けられなくなっていました。
自分が巻き込まれない為に…… 。
これが孤独と言ういじめの恐ろしさ。
そして追い打ちのようなパシりや、過度の笑いの定と言う痛いツッコミ。
それはただの暴力でした。
一日中いじめは続きました。
そして学校が終わり下校時間に。
俊彦君は翔に肩を組まれて一緒に帰って行きました。
いじめのおかわりのような物でした。
明日香も鞄に教科書を入れて帰る事に。
「 明日香ちゃんまたね。 」
「 明日香さんまた明日! 」
クラスの皆と挨拶くらいはしてもらえるようになっていました。
麻衣ちゃんと一緒に居るからでしょうか?
「 みんなさようなら。
また明日ね! 」
オドオドしながらもしっかり返事をしました。
少しずつだけど前進してる気持ちになりました。
家に着いてから海人と少し遊び、夕方になっていました。
すると消しゴムが失くなっていたのを思い出して、少し離れている場所にあるコンビニに行く事に。
しっかり消しゴムを買ってから家に向かいました。
帰り道は街灯が点いても暗い道。
懐中電灯をしっかり持って家まで歩きました。
家に帰ろう歩いていると向かい側歩いて来る人影が。
その人影は…… 俊彦君でした。
すっかりこき使われてボロボロに。
髪もぐしゃぐしゃで鞄も泥だらけ。
少し蹴られたりしたのか、足を引きずりながら歩いていました。
そして目が合いました。
( あっ…… 俊彦君…… 。
どうすれば…… 何て声掛けたら良いか…… 。 )
明日香は止まって考えていました。
もし話を掛けて次の日に友達だと思われたら、自分もいじめの対象になるのでは?
学校で話を掛けられるのではないか?
明日香はいじめの被害にあう事を何よりも恐れていました。
何も出来ずに立ち尽くしていると俊彦君はすれ違ってしまう。
そして止まり…… 。
「 良いよ……無理しなくても。
僕に巻き込まれちゃうからね。
でも…… ありがとう…… 。 」
そのまま歩いて帰って行きました。
明日香は崩れ落ちて泣いてしまいました。
自分のあまりの不甲斐なさ、安全の為とは言え最低な行為だと感じて涙が止まりませんでした。
分かっていても声を掛けられない…… 。
怖くて…… 怖くて仕方がなかったのでした。
その様子を遠くから謎の青年は見ていました。
( …… まっ。 それが妥当だろうな。 )
鼻で笑い帰ってしまいました。
明日香は家に帰ってからも俊彦君のあの表情は、頭から消える事はありませんでした。
家で一人で部屋で悩み布団にくるまっていると、ドアをノックする音が。
トントントン!
「 入るわよ。 」
お母さんでした。
「 明日香…… 元気なかったけどどうしたの?
何かあった? 」
明日香はお母さんに全て話しました。
自分のした事を…… 見てみぬふりした事も。
お母さんは真剣な表情で聞いてくれました。
そして明日香を軽く抱きしめながら。
「 仕方ないよ。 でもお母さんは知ってるよ。
明日香は人の痛みをちゃんと分かる子だって。
本当に悪い人なら何とも思わないわよ。
私はそんな痛みに鈍感じゃないだけでも、凄い嬉しいなぁって思うなぁ。
人を助けるって凄い難しい事なのよ。
だから思い詰めないで? 」
明日香はお母さんの話で少しだけ落ち着きました。
誰かに話すだけでこんなにも気が楽になるなんて思いませんでした。
やっぱりお母さんなんだなぁって思うのでした。
しっかり者のお母さんならではですね。
朝になり明日香は散歩に出掛けました。
少しでも気分転換したくて。
公園に着いてから、謎の青年に教えてもらった高い場所に登り上から見渡しました。
体育座りしながら何も考えずに見渡し続けました。
するとそこに青年が現れました。
明日香の後ろ姿から昨日のせいだと直ぐに分かりました。
「 ゴミを捨てた奴とゴミを落としてしまった奴、どっちが悪いと思う? 」
急に青年が問いかけました。
明日香は急に話し掛けられてびっくりしてしまいます。
「 えっ…… 捨てた人かなぁ? 」
咄嗟に返答しました。
「 俺は落とし奴かな。
捨てた奴はいつか悪い事したって気付くかもしんないし。
落とした奴は気付かないだろうからね。 」
明日香は全く意味が分かりませんでした。
青年は明日香の罪悪感と重ねて話していたのかもしれません。
青年はジャム入りコッペパンを投げました。
明日香はオドオドしながらキャッチします。
「 深く考え過ぎんなよ。
人には限界があるんだからさ。 」
そう言いながら手を振りながら帰りました。
明日香は黙ってその後ろ姿を見ていました。
「 何なんだろう…… 。
でも、何だか嬉しいなぁ。
分かんないけど気にしてくれてるのかな? 」
コッペパンを持って家に帰りました。
後から気付きましたが、また名前を聞き忘れてしまった事に。
でも明日香にはいつの間にか青年が少し気になる存在になっていました。
もっと話して友達になりたくなるのでした。
そしてまた学校に行き一日が始まるのです。
辛いかもしれない…… それでも前へ!
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