第7話 麻衣ちゃんとの買い物


日曜日のお休み…… 。

麻衣ちゃんと約束していた買い物の日になりました。

明日香は大興奮!

初めてのショッピングモール。

田舎ではここが分からないと生活出来ないくらいです。

雑貨屋や服屋さん、飲食店やカラオケやおもちゃ屋さん。

田舎にとっては夢の王国のようでした。

明日香にとっては都会から来たので、凄い感動はないかもしれませんが、友達と行く事に意味があるのです。

なのでずっと楽しみにしていました。


「 ファッションもバッチリ!

さぁ、行ってくるわよ。 」


明日香は勢い良く飛び出して行きました。

家族はみんな手をふり見送りました。

歩いて20分くらいの距離に麻衣ちゃんの家がありました。

なのでゆっくり歩いて向かいました。

10時に待ち合わせなので、30分前に家を出たので丁度良いくらいの時間でした。

家の側まで行くと、麻衣ちゃんが待っていました。


「 麻衣ちゃん? 待たせちゃったかな?

ごめんね。 」


「 何言ってるのよ。

楽しみで早く着いただけだよ。

さぁ行こう? 」


二人はショッピングモールへ。

30分くらい歩いて到着。

ずっと森ばかりあったのに、その中に佇んでいる綺麗な街並み…… 。

森との融合している統一感。

明日香はまるでアニメの世界に入ったような気分に。


「 本当に綺麗…… 。 」


「 またまた大袈裟ね。

都会の方が凄いでしょう。 」


明日香はそう思いませんでした。

二人は車でやっているキッチンカーを見つけました。


「 あれはクレープ売ってるんだよ。

食べようか? 」


「 うん。 大好きなの。 」


店員さんに注文すると大きいクレープを作ってくれました。

優しい店員さんは明日香が初めて来たのが分かり、喜んでもらおうと頑張りました。


「 どうだい? このストロベリークレープスペシャルは??

ここだけの特別だよ。 」


二人は無言になるくらいに食べまくりました。


「 んまいっ、んまいっ!

こんにゃ…… うみゃいの初めてです。 」


口の周りはクリームだらけで必死に喜びを伝えました。


「 何よその顔は…… ぷぷぷっ。

わはははっ! 」


麻衣ちゃんも大笑いでした。

店員さんもクスクスと笑っています。


「 だって美味しいんだもん。 」


明日香は恥ずかしがりながら必死に訴えかけました。


「 ばくっ! もぐもぐ…… こんな店で満足してもらったら困るわね?

ここからどんどん勢い上げて行くわよ。

良いわね?? 」


「 はい! リーダー! 」


二人はクレープを持ちながら次の店へ。

クレープ屋さんは悲しそうに見つめていました。


「 こんな…… 店? 」


二人が次に来たのはジャンボたこ焼き屋。

イカツイ髭たっぷりのタヌキのような店長さん。


「 へいっ! 田舎に置いておくのは勿体ない。

そう…… あっしの店が噂のジャンボたこ焼き屋ですぜ!

どうぞご注文下さいませ! 」


何ともリズミカルな口調をするタヌキ…… いや、店長さん。


「 おっちゃん。 いつものおっきいの頂戴。

タコ沢山入れてよ? 手抜きしたらまたここのオーナーにチクるからね? 」


麻衣ちゃんがタヌキ店長を脅していました。


「 おいおいおい! それはないぜ。

お嬢ちゃんの告発で色々大変だったんだから。 」


前に一悶着あったようでした。


「 だったらつべこべ言わずに作るの! 」


「 はいはい。 お任せを! 」


そう言いながら専用の鉄板に具材と大量のタコを入れました。

特大のたこ焼きが一個作られるようです。


「 ねぇねぇ。 これって一個なの? 」


「 そうよ。 特大なのが一個。

凄いデカいのよ? しかも味は格別よ。

二人でシェアしましょ。 」


少し時間は掛かりましたが出来上がりました。

鉄板を開けると凄い煙と共に奴が姿を表す。


「 えっ…… たこ焼きなの?

これが…… 。 」


唖然としてしまう明日香。

ニヤニヤと笑い始めるタヌキ店長。


「 お嬢ちゃん…… ここら辺の人じゃないね?

このたこ焼きは未来…… 嫌、宇宙のような。 」


麻衣ちゃんは割って入り話を止めました。


「 うるさいうるさい!

金払ってんだからウダウダいらないの。

早く商品を出しなさいよ! 」


タヌキ店長はしょんぼりしながら皿に乗せてテーブルに運んで来ました。

バスケットボール並みの大きさ。

慣れた手つきでソースと鰹節とマヨネーズを沢山かけました。


「 凄い…… 頭並みにデカいのね。 」


デカい専用ナイフを使って取り分ける。

中からは蒸気が溢れ出して来ます。


プシューーッ!!


「 うわぁーーっ!! 熱いっ! 」


麻衣ちゃんはたこ焼きの中の蒸気を浴びて騒ぎました。

ある意味楽しみの一つですね。

そして明日香の皿に取り分けて食べる事に。


「 いただきます。 もぐもぐ…… 熱っ!

美味いっ。 美味すぎるぅーーっ。 」


明日香は雄叫びをあげました。

それを聞きタヌキ店長が走って来ます。


「 そうでしょうそうでしょう。

それを焼くために試行錯誤して、専用の型を作るのにどれだけの歳月が使われた事やら…… 。

その悲願が報われて…… 。 」


「 うるさいぞ! またオーナーにクレーム出されたいの?? 」


タヌキ店長はしょんぼりしてキッチンカーに帰って行きました。


「 明日香美味しいでしょ??

店長は鬱陶うっとうしいけど、味は本物よ。

売れないのは店長のせいよね。 」


そう言いながら笑いました。


「 そうかなぁ?

悪い人じゃなそうだけどなぁ。

にしても本当に美味しいわ。

むしゃむしゃ…… 熱いけど美味しいっ。 」


明日香は大喜び。

麻衣ちゃんはそんな喜んでる明日香を写メを撮りました。


カシャッ!!


( 良く写ってるわ。

凄い良い写真。 来て良かったなぁ。 )


麻衣ちゃんは写真を撮るのが大好き。

こっそり撮っていました。

撮ると言ったら緊張するのが分かっていたからです。

麻衣ちゃんも今日のお出かけをエンジョイしていました。


食べ終わってからぶらぶらと色んなお店を回りました。

ここのショッピングモールには色んな個人店が出店していたりして、活気と人情に溢れていました。

麻衣ちゃんは歩いているとき、ある店を見つけて足を止めました。


「 明日香。 ここ寄ろうよ。 」


そのお店はジュエリーショップ。

ジュエリーと言っても高い物から安いピーズのアクセサリーまで幅広く取り揃えていました。

麻衣ちゃんの目に止まったのはオリジナルのビーズのブレスレットでした。

1000円くらいで好きなビーズを組み合わせてオリジナルブレスレットを作れると言うのです。


「 明日香っ。 これ二人で作ろう?

今日の初めての買い物の記念にさぁ。 」


明日香もその看板を見て凄い惹かれていました。

明日香は小さな頃しか友達と出掛けた事がなく、こんな事をした事もありませんでした。


「 作りたいっ! 作ろうよ。 」


二人は店員さんに注文して、オリジナルのブレスレットを作りました。

ピンクと白を基点とした桜をイメージしたブレスレットを作りました。

二人はお揃いのを作ったのでした。


「 出来たぁ! 私達これで親友だね。 」


「 えっ…… 私と親友??

本当に?? 」


明日香はその言葉が何よりも嬉しく、叫び出したくなるくらいに最高な気分になりました。


「 明日香は直ぐに暗くなるのがダメよ?

私はいつでも味方なんだからね。 」


麻衣ちゃんはそう言って、歯を見せながら笑いました。

麻衣ちゃんは笑う時に八重歯を見せるのが特徴でした。


「 うん…… 。 うん!

絶対親友だよ。 私も麻衣ちゃんの味方だからね。」


二人はお揃いのブレスレットを着けてウキウキ気分になりました。

その後に大量の服とか買い物してゆっくり帰りました。

その日は明日香は悪夢を見ること無く、ぐっすりと朝まで眠れたのでした。

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