第4話 お父さんの優しさ
明日香は友達が出来てるんるん気分!
気分は最高に!
ご飯を食べ終えてから一人ニヤニヤしていました。
( 嬉しいなぁ。 私に友達。
あんなに優しくて前向きでカッコいい人が友達なんて…… 嬉しいーーっ! )
ベッドをカエルのように跳ねまくり!
それを家族三人はこっそり覗いていました。
「 海人君? あれはどう言う事かね?
私のアイスを一つあげるので教えてくれたまえ! 」
お父さんは相変わらずのおふざけ喋りで、海人をエージェントのように上げて話したくなるようにさせます。
海人はお口をチャックしていて話そうとしません。
「 これはこれは…… 母さん。
海人はお口チャックのようですよ?
どうしましょう…… 。 」
お父さんはふざけてお母さんに協力を求めました。
「 海人君。 折角ジャンボドラゴンアイスが冷凍庫にあるんだけどなぁ…… 。
しかもレッドストロベリー味!! 」
それを聞くと海人の閉ざされた口のチャックが、開き始めました。
「 お姉ちゃん友達が出来てるんるんなのです。
秘密話したから下行くね! 」
階段を勢い良く降りて行きました。
子供には秘密はまだまだ難しいようです。
「 母さん…… ここに来て良かったね。
自然も豊かで学校もしっかりして、友達も出来て俺は幸せだよ。 」
お父さんは明日香を見ながら、涙目になってしまっていました。
「 そうねぇ。 私も幸せです。
お父さんは仕事が内容も仲間も変わって大変だろうけど、明日香にはこの環境が合ってたみたいね。
お父さん。 いつもありがとう。 」
お母さんはお父さんに感謝を述べて、二人は腕を組みながら明日香を見ていました。
辛い日々を乗り越えたからこその、幸せだと二人は感じていました。
ゆっくり二人は下に降りて行きました。
明日香はまだ知らずに跳び跳ねていました。
次の日…… 。 明日香は少しお寝坊してしまい、朝から大忙しでした。
「 大変! 大変! 遅刻しちゃう。 」
直ぐにシリアルをむしゃむしゃと食べて、フルーツとヨーグルトもお腹に入れる。
「 お姉ちゃん…… 寝坊したならそんなにわざわざ急いで食べなくても良いんじゃない? 」
「 むしゃむしゃ…… ごっくん!
私は高校生よ? 朝食べないと頭が回んないのよ。
まだまだお子様なのね。 バクバクバク……っ! 」
寝坊した人は基本軽く済ませてしまったり、朝を抜くのが当然なんですけどね。
二人は食べ終わり学校に行こうとする。
お母さんがお昼のお弁当を渡しに来ました。
「 はいっ! 二人共。
行ってらっしゃい。 」
「 行ってきまぁーーす! 」
二人は大きな声で返事をして学校へ行きました。
歩きながらご機嫌に歌を唄っていました。
「 歩こぉーー。 歩こーー。
私はダイ元気ー! 食べるの大好き!
どんどん食べようーー。 」
明日香はご機嫌で謎な替え歌を唄いながら、学校まで歩いていました。
「 お姉ちゃんのその歌なに??
酷い歌詞でCD出したら絶対売れないよ。 」
「 良いんだもん。 お姉ちゃんは歌手じゃありません! 」
と言いながらまた唄いました。
海人も一緒になって唄いました。
その歌声は歩いている森の中にも響き渡りました。
公園でお昼寝していた青年はその声で起きました。
( ん?? 何だ何だ?
こんな静かな森の中で唄ってんのわ? )
公園から出て道路を歩く二人を後ろから見ました。
「 クスッ! 変な歌。 朝から元気な事で。 」
笑いながら青年は公園に戻って行きました。
青年は一体何者なのでしょうか?
学校に明日香は着いてから席に座ってジッとしていました。
まだ話す相手も全然居ないので、何して良いか分からない人はこうなってしまうものです。
( 小説読もうかな…… 。
沢山用意したから放課後までもつぞ。 )
そして小説を読んでいると。
「 おっはよ! 何読んでるの? 」
麻衣ちゃんが話し掛けてきてくれました。
「 麻衣ちゃん。 あのぅ…… 小説読んでて。 」
「 ふーん。 こんなの読んでないでこっちおいでよ。
今ね、外のニワトリ小屋で教頭先生が格闘中なのよ。
一緒に笑ってやりましょ。 」
麻衣ちゃんは明日香の手を取って、外に出ていってニワトリ小屋を見に行きました。
明日香にとってその伸ばしてもらった手は、絶対に忘れられないでしょう。
明日香は走りながら嬉しくて仕方がありませんでした。
二人は授業の鐘がなるまでこっそりと、教頭先生のニワトリとの格闘戦を笑って見ていました。
「 全くー。 ニワトリの世話を何で私がやらないといけないんだか。
ん? 今誰か笑ってなかったか? 」
そのときは既に二人は逃げていました。
授業をその後に受けて、休み時間になる度に二人は楽しいお話をしました。
田舎の面白い所や怖い事。
明日香も都会は人が凄い居る事や光が絶えない事とか。
二人は話す事に互いをどんどん知る事が出来ました。
そしてお昼の時間…… 。
明日香は麻衣ちゃんに連れられて、まだ誰も使っていないプールに来ていました。
「 ここはね。 プール開きするまでは誰も来ないの。
だから穴場なのよ。
ここは私しか知らない秘密基地。
二人だけの秘密だよ? 」
まだ水は張ってなかったけど、そこの場所からは色んな景色が見えていました。
森の景色や鳥を沢山見れます。
明日香には最高の場所でした。
「 うん。 誰にも言わないよ。
凄い良い景色だね。 都会では是非見れないよ。 」
目をキラキラさせながら辺りを見渡していました。
「 本当に明日香って面白い。
こんな景色の何処が良いの?
直ぐに飽きちゃうんだから。 」
「 そうかな?
私はこの落ち着いたこの街が大好きだよ。
凄い空気はおいしいし、何より景色が綺麗。
私は大好き! 」
両手をいっぱい広げて力いっぱい自然のおいしい空気を沢山吸い込みました。
麻衣ちゃんはそれを見て笑っていました。
( 最初は都会から来たから何となくバカにしてるかと思ったけど、本当に良い子だよなぁ。
少し変わってるけどね! )
麻衣ちゃんは明日香が凄い好きになっていました。
偏見もなく、優しく良く笑っていて少し元気が足りないけど、そんな所も大好きになっていっていました。
二人はお弁当を広げて食べる事に。
麻衣ちゃんはビンの牛乳にサンドイッチ。
「 うわぁー …… 。 凄いなぁ。
美味しそうだね。 」
明日香は羨ましそうに見ていました。
「 ウチは農家やってて牛乳は凄いあんのよ。
チーズとかも沢山ね。
ほいっ! 一本あげる。 」
「 ありがとう。」
明日香は直ぐに飲みたくて開けようとしました。
でも初めての蓋だったので全然開けられません。
「 本当都会もんだなぁ。
貸してみな。 ここをこうやって、後は蓋を引っ張れば良いのよ。
やってみなぁ? 」
明日香は言われた通り引っ張ると、力を入れすぎて牛乳が軽く噴き出しました。
顔は少し牛乳がかかってしまいました。
「 あははっ。 何それ?
あっはっはは。 どんだけ不器用なのよ。 」
麻衣ちゃんは笑いが止まらなくなっていました。
「 えっへへ。 本当にそうだよね。
でも凄い美味しいよ。 ありがとう。
ごくごく…… ぷはぁ! 美味しい。 」
明日香も弁当を開けると、中身は極デカのサンドイッチでした。
しかも耳が全部付いています。
( うげぇっ! これお父さんが作ったなぁ?
料理下手なのに…… 朝居ないと思ったらこれだよ。)
お父さんは仕事に行く前に、一生懸命明日香が学校頑張れるようにサンドイッチを作っていたのでした。
「 すごぉーい! デカいね。
少し食べても良い? 」
「 えっ? こんなのを?
良い…… よ? 」
そしてデカいサンドイッチを一口頬張りました。
「 もぐもぐ…… ごくん!
えっ? 凄い美味いじゃん。
中に入ってるソーセージ、絶対手作りでしょ?
私、結構舌が肥えてるからわかんのよ。
凄い頑張って作ってるのね。 」
そうなのです。
お父さんは仕事が忙しいのに、朝早くに起きてから得意のソーセージを頑張って作っていたのです。
お母さんも後ろでニコニコしながら見守っていながら。
( お父さん…… ありがとう。 )
いつもは当たり前に食べてたのに、その大変さを知って明日香はお父さんに感謝しかありませんでした。
「 これ作ったのお父さんなの。
耳とか全部付いてるのとかも、耳が一番栄養あるんだ! とか言って絶対切らないの。 」
麻衣ちゃんは驚いていました。
「 えっー?? これお父さんが?
絶対大変だよ! 凄い良いお父さんだね。
ウチのお父さんなんて、農業ばっかやって私より牛のお世話してるんだから。 」
明日香と麻衣ちゃんは笑い合いました。
明日香はこんなにお弁当を食べていて美味しいと思ったのは、初めてでとても嬉しかったのでした。
お弁当は中身も大切ですが、「 誰と 」 食べるかも需要なスパイスなのかもしれませんね。
二人はゆっくりお弁当を食べて楽しいお話をするのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます