第2話 夢の学校生活へ
扉を開き入って映ってきた光景は、一クラス30人ぐらいしか居ない教室。
学年毎に二クラスあって、ここは一組。
都会と変わらず少し化粧している女子。
髪をワックスつけている男子。
都会と田舎はそんなに違う所はありませんでした。
( 田舎の人達だから少し流行や見た目が、あれだと思ったけど都会よりも流行に敏感にも感じるぞ。
女子の机の上にファッション雑誌のせてるし。 )
明日香は少し田舎を嘗めていたのかもしれません。
若者は都会憧れ、テレビやネットの情報を駆使して流行の最先端をいっていました。
少し驚いてしまいました。
これが現実なのだから仕方ありません。
すると一人の男子が立ち上がりました。
「 うぃーっす! 名前何て言うの?? 」
背丈は180超えの大男。
金髪に短ランにズボンはボンタンのようにぶかぶか。
まるで昔の不良のようでした。
少し怖がりながらも返答しました。
「 …… 初めまして。
持田明日香って言います…… 。
宜しくお願いします。 」
「 俺様は
都会もんなんだろ?
色々話聞かせろよ!
なぁ、メガネちゃん。 」
初対面なのにグイグイ来て圧が凄い。
しかも自分の事を俺様と言う奴にろくな奴は居ないことを感じました。
名前ではなくて、メガネちゃんと呼ぶのも凄い気になる所でした。
でも本当は良い人なのかも知れません。
「 宜しくお願いします。 」
先生から色々生徒達に紹介してもらい、何とか生活出来そうにも感じました。
「 じゃあねぇ…… 持田さんは一番奥の席に座って下さい。
皆も仲良くしてあげてね。
何でも教えてあげるのよ? 」
「 はぁーーい! 」
野太い男達の返事が聞こえる。
心臓の高鳴りは押さえられずにバクバクしっぱなしになっていました。
休み時間…… 。
皆に囲まれて都会の話を沢山聞かれていました。
「 ねぇねぇ?
東京のあのスイーツ食べたぁ?
美味いってネットで話題だよねぇ。 」
沢山の女子から問い詰められてしまいました。
ギャルも沢山居て、仲良くなれるか心配になってしまいます。
「 ごめんなさい。
私はあんまり人混み得意じゃなくて、並んだりする所に行ってなくて。 」
期待に応えられずに少し落ち込んでしまう。
すると落ち着いた女子達からも質問責めに。
「 明日香ちゃんって何で東京から来たの?
名前可愛いよね。
今日は帰り暇??
家は何処らへんなの?? 」
凄い質問責めに慌ててしまいます。
この前まで不登校で、コミュニケーション能力が低下しているのが原因の一つかもしれません。
するとそこに不良の翔もやって来た。
「 メガネちゃん。 何で田舎に来たんだよ?
理由とかあんの? 」
「 えっと…… お父さんの仕事の都合で。 」
咄嗟に嘘を付いてしまいました。
誰だっていじめられて引っ越して来たとは言いたくありませんでした。
「 ふーん…… そうなん。 」
不良は仲間を連れて飲み物を買いに行った。
その圧に押されてしまい震えが止まらない。
もしいじめられたら?
絡まれたらどうしよう…… 。
悩みがつきません。
その日は自己紹介をして授業を終えて帰宅しました。
学校から家まで一時間。
自転車通学にしないと時間が凄いかかってしまう。
でも歩いている途中の木々や鳥の鳴き声。
明日香には凄い癒しになっていて、飽きる事はありませんでした。
湖の見える公園に着き、少しゆっくり休みました。
( はぁ〜 。 少し先が怖いなぁ。
いついじめられるか分かんないし。
私は田舎へ夢見すぎていたのかなぁ。
これが現実だよね…… 。 )
静かな湖を見ながらため息をついていました。
少し一人を楽しんでから家に帰るのでした。
その頃、小さな駅前では…… 。
「 うらぁっーー! 」
ヤンキーの翔が学生に蹴りを入れていました。
「 ぐはぁっ! 」
真面目そうな学生はごみ捨て場に倒れ混む。
「 おいっ。 ここでデカい声で騒ぐんじゃねぇよ。
分かったな? 」
「 ゲホッ! ゲホッ! すみませんでした。
二度としません。 」
そう言い凄い勢いでヘロヘロになりながら走って行きました。
「 にゃろう…… ここは俺様の庭だ。
デカい顔すんじゃねぇよ。 」
子分達はその行動を見てニヤニヤしている。
これは嫌な雲行きに感じます…… 。
そんな事も知らずに家ではほんわかとご飯を食べていました。
「 美味いなぁ。 明日香は新しい学校どうだ? 」
「 …… うん。 凄い楽しかったよ?
凄い話しかけてもらったし、沢山話せて大満足! 」
ヤンキーの事や雰囲気の事は一切言いませんでした。
お父さんにはもう心配かけたくなかったからです。
仕事先を変えてもらい、また新しい仲間と仕事をして大変そうでした。
だから…… これ以上は迷惑はかけられませんでした。
「 僕はねぇ! 凄い人気者になったよ。
みんなでねぇ、虫取に森に行ったりしたよ。 」
海人は凄い大満足!
虫が大好きな海人には最高の環境でした。
子供にはほとんどいじめはありません。
それは純粋だからなのかもしれません。
成長するにつれて考える力が増え、凄い仲良くなれたりして共感したり、逆に全然合わなくて見ててイラついていじめたり。
成長する事は出来る事が増えますが、その反面…… 動きにくくなる事も沢山あるのかもしれません。
それが大人になるって事なのかもしれませんね。
楽しく皆で食事をして部屋に戻る。
部屋はそれぞれにあって、プライバシーが守られています。
ベッドに横になって少し休みました。
( はぁーーっ。 田舎は凄い合うから良いんだけど学校生活は凄い怖いなぁ。 )
少し疲れていたのか直ぐに眠りについてしまいました。
そして夢をまた見ていました。
「 あんたって犠牲者だよね?
見てみぬふりしたりさぁ。 」
「 コイツと話す奴なんて居ないんだよ。 」
同級生からの罵声を浴びさせられていました。
黙って言い返す力もなく、ぶるぶる震えてしまう。
( 助けて…… 助けて…… 。 )
「 あんたさぁ。 二度と学校来んなよ? 」
そして凄い勢いで起き上がる。
「 うわぁーーっ! はぁはぁはぁ。
また夢かぁ。 」
悪夢とは人間の深層心理を描いているとある一説で言われています。
この悪夢もその一つなのでしょうか?
沢山汗をかいていたので、直ぐにシャワーを浴びてから少し早いのでまた散歩に。
明日香は気が弱くて自分の思いを口にするのが下手くそでした。
だから一人で居る事に慣れていました。
この前誰かにかけてもらったパーカーを持ってまた公園に。
( このパーカー誰のかなぁ?
凄い良い匂い…… 香水なのかなぁ? )
大きさで何となく男の物だと分かる。
椅子に座ってシュークリームを食べました。
お母さんの手作りシュークリーム。
お母さんは料理が大得意!
むしゃむしゃと食べていました。
あっという間に食べて、一つ余らせてまた眠ってしまいました。
「 ぐぅーっ。 ぐぅーっ。 」
するとまたあの青年が歩いて来ました。
「 っておいっ。 また寝てんのかよ?
どんだけ安心してんだか。 」
また寝顔を見てみる。
その寝顔は自然や周りへの恐怖心は一切なく、穏やかにぐぅーぐぅーっと眠っていました。
「 都会もんかな?
…… 俺のパーカー。 洗ってある。
ん? シュークリーム。
余ってんだったらもらお。 」
そしてパクパクと食べました。
「 うめぇなぁ。 何処で買ったんだ?
ここら辺はスイーツ屋なんてないのに。
勝手に食べちゃったし、置き手紙だけしとくか。 」
青年は手紙を残してまたゆっくり帰りました。
青年もこの公園が大好きでした。
でも最近は明日香占領していて、気を遣って別の場所に。
そしてその置き手紙には?
( パーカー洗ってくれてありがとう。
公園で寝てるとあぶねぇぞ?
シュークリームは頂きました。 )
綺麗な字でわざわざ手紙を残して行きました。
二人が出会うのはいつになるのでしょうか?
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