いじめられて田舎へ
ミッシェル
第1話 憧れの田舎へ
車で高速道路を走っているワゴン車。
その車内は家族四人乗って居ました。
車内は和気あいあいと会話が弾んでいます。
父の
48歳。 いつもへらへらしている優しいお父さん。
家族優勢で生きている、ある意味では理想のお父さん。
母の
48歳。 お父さんとは正反対でしっかり者。
優しくも家族をいつもしっかり見ている、母親の鏡のようなお母さん。
弟の
7歳の小学二年生。
いつもハチャメチャで元気いっぱい!
優しくも姉思いの弟君。
そしてこのお話の主人公、
高校二年生。
誰にでも優しくおっとりした性格。
気が弱いのが少し気になります…… 。
四人は東京から引っ越して岩手へ。
明日香へのいじめにより不登校になってしまいました。
それをどうにか出来ないか?
と考えた結果、お父さんの提案により岩手への大お引っ越し。
明日香の傷を癒したくて出した選択でした。
最近無気力になりつつあった明日香も、新しい生活へ夢と希望を膨らませるのでした。
「 長かった旅もそろそろおしまいだぞ。
皆さん準備は良いですかぁ? 」
元気いっぱいに皆を気に掛けるお父さん。
家族はそんなお父さんが大好き。
「 はぁーーいっ! 」
皆で大きな返事をします。
後ろの席に座る姉弟は期待を膨らませて話をしていました。
「 お姉ちゃん。 引っ越したら虫取行こう! 」
わんぱく坊やは元気いっぱい。
止まる事を知りません。
少し元気はありませんがお姉さんもニコニコ笑っています。
「 そうねぇ。 少し荷物を片付けたら出かけようかぁ? 」
年は離れているが本当に仲が良い。
海人はそんなお姉ちゃんが大好きです。
いつもべったりなのでした。
お父さんは仕事の転勤先を上司にお願いして、岩手の職場への転勤をお願いしました。
そして岩手に新たな新居を移し、いざ! 新天地に心を燃やすのでした。
新居の中古の一軒家へ到着。
来るまでは森の中を進み、まるで大冒険をしている気分でした。
自然は生い茂り、鳥や虫達が沢山いました。
都会とは違い、静かで自然溢れる街に皆は大感激でした。
「 うわぁーーっ。 お父さんすごぉーーいっ! 」
海人も大興奮。
お父さんは誇らしげにニコニコしていました。
「 お父さん…… 私の為に…… 。 」
直ぐに明日香の喋る口の前に人差し指を重ねる。
「 シーっ! それは言わない約束だろ?
さぁ、我が城に入ろうか。 」
明日香の肩を抱きながら家に入るのでした。
気にする娘をフォローするお父さんが明日香は大好き。
中には既に引っ越し業者が荷物を運び終わっていました。
少し古くさくもしっかりとした二階建ての一軒家。
家族は新しい新居に大満足。
そしてお父さんにそっと近寄るお母さん。
「 あなた。 明日香の為にありがとう。
いつもお疲れさま。 」
「 何言ってるんだよ
当然だろ? 何て言ったって俺へは一家の大黒柱。
家族は俺が守るよ。 」
二人は腕を組みながら姉弟を見ていました。
二人も可愛い姉弟の為なら、どんな事でもする気持ちでした。
忙しい話でしたが明日から二人は学校へ。
部屋の片付けや諸々をこなして、姉弟は外へ少し遊びに行く。
外を歩くとそこは都会とは全く別の世界。
鳥の囀え》ずりに心地の良い風。
スーパーやコンビニは少ないが、今の傷ついた明日香には最高の環境でした。
「 お姉ちゃん。 蝶々だ。
待てぇーーっ! 」
森の中へどんどん潜って行く海人。
「 海人ー。 あんまり奥には行っちゃダメだよ。」
明日香はゆっくり歩きながら自然の空気に触れて心地良い気持ちになっていました。
すると奥に見えたのは湖の見える大きな公園。
少しだけ海人から離れないようにしながら探検していました。
( 凄い綺麗…… 。 何の音も聞こえない。
騒々しい都会では絶対に味わえないなぁ。 )
湖に浮かぶカモさんを見ながら癒されていました。
少し時間が過ぎて海人を連れて家に戻るのでした。
二人も大満足の光景でした。
夜になり家族で焼き肉パーティー。
近所には少し離れた場所に家が少しあるくらいで、夜は凄い静かな場所でした。
街灯も少しはありますが、街が全然無いためか凄い暗い。
一人で歩くなら絶対に懐中電灯が必要になります。
家族でご飯を食べ終えて、明日も早いので直ぐに睡眠へ。
一日色々あり、直ぐに夢の中へ。
「 あんたさぁ…… ウザイんだけど! 」
「 うわぁーっ!! 」
明日香は悪夢に
( はぁはぁ。 夢かぁ…… 怖かったなぁ。 )
明日香は私服に着替えて歯磨きをして、少し朝の散歩に出掛けました。
やっぱり傷が治るのは時間がかかります。
朝の日差しが上り、少し霧がある風景。
空気は美味しく、少し肌寒いくらいの環境。
明日香はゆったりとパンと牛乳を持って、近くの湖の見える公園に来ていました。
「 綺麗だなぁ。 パン食べながら堪能しよっ! 」
パンを食べながら自然の空気や景色に満足して、少し眠ってしまいました。
そこへ赤茶のモジャモジャパーマの青年が来ました。
若々しく、背は175以上ありました。
ラフなパーカーにジャージのズボン。
そして明日香がベンチに座り眠ってるのを見つけました。
( おいおい…… 俺の特等席。
誰だよコイツは? )
近くに寄ってもぐぅぐぅといびきをかいて寝ています。
「 一人で寝るなんて、危ない奴だなぁ。
襲われたらどうすんだよ?
ここら辺の奴じゃないのか? 」
顔を覗き込んで見る。
髪はショートで無抵抗な寝顔を見詰めていた。
「 クシュンっ!! 」
少し寒くてくしゃみをしてしまいました。
「 全く…… 朝は寒いのに服装が軽装なんだよ。
仕方ねぇなぁ…… 。 」
明日香に自分のパーカーを毛布のようにかけて、半袖になり帰る事にした。
「 寒いなぁ。 帰ってコーヒーでも飲もう。
へっくしゅんっ!! 」
走って青年は帰って行きました。
少しして明日香は目が覚めました。
「 ん…… ? 寝ちゃった。
公園で寝ちゃったの初めてだなぁ。
んん? このパーカー誰の? 」
直ぐにパーカーに気付きました。
誰かが自分を気遣ってくれたのが直ぐに分かりました。
「 本当に田舎って最高だなぁ。
来て良かったぁ。 」
パーカーをギュッと抱き締めながら、家にゆっくり帰って行きました。
明日香にはその優しさがとても温かく感じて、凄い気持ちが良くなっていました。
家に戻ってから準備をして、弟と二人で学校へと出掛けました。
高校とは道がほとんど同じで、小学校のもっと先へ行くと高校があります。
海人とは途中で別れる事に…… 。
「 姉ちゃん…… 僕怖いよぉ。 」
泣き虫海人は初めての学校に弱気になっていました。
誰でも最初が一番嫌なのは同じです。
「 大丈夫。 海人は男の子でしょ?
いつでもお姉ちゃんが付いてるから安心しなさい。
何かあったら飛んでくからね。 」
そう言うと海人は少し落ち着き学校に歩いて行きました。
( 海人頑張って…… お姉ちゃんも頑張んないと。 )
明日香はドキドキしながら歩いて行きました。
高校に到着すると、木に囲まれて森の中に作られたのではないか?
と思わされる高校が目に映りました。
( 頑張れ! 私…… 今度こそは負けないぞ。
最初が肝心だからね。 )
担任の女の先生に挨拶をして二人で教室へ。
先に先生が教室へ入りました。
「 皆ぁーっ。 静かに!
今日から皆さんに新しい仲間が増えます。
どうぞ! 入って来て頂戴。 」
緊張してロボットのようになりながら教室への扉を開けました。
開いた教室の光景とは??
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