前編 親父の涙
ある貧しい村での出来事だった🎵
その村には、人間国宝を頂いたお父さんと妻と息子の三人で暮らしていた家🏠があったが親父の仕事は、わらでいろいろ工夫して作るわら細工であった🎵昔は買ってくれる人も大勢いたのだが、今となってはみな物質に恵まれている時代でいい作品が出来ても買ってくれる人は、ほとんどいない状態であり、当然ながら経済に苦しい生活であった🎵
そんなことだから、息子には小さい頃からおもちゃも買ってやれず、息子は自然から捕れる草や木の枝に石や土等が小さい頃からの遊び道具であった為、周りの子供やその親からけなされてばかりか、いじめの対象となってはいつも泣いてばかりいた🎵
息子は毎日毎日、仕事に一生懸命に取り組んでいる親父に対して愚痴はこぼせなかった❗それどころか親父のことは嫌いではなく、むしろ好きだった🎵自分の仕事にプライドを持ち、仕事に打ち込んでいる姿を見ると誇りにさえ思えてきたが、息子もやはり人の子で皆が持っているおもちゃや自転車🚲等がたまらなく欲しかった🎵
その思いからか親父にある時、思ってもみなかったことを口にした🎵それは「家🏠のことも考えて売れないわら細工をしているより他の仕事をしたらどうだ」と言ってしまったのであった🎵本音ではなかった、本当は親父に今の仕事を続けて欲しかった🎵
けど、親父の性格からして焼石に水だった🎵親父は真面目一方の性格で自分に対しても厳しいのは良いが、少々のことでは考えを変えない頑固者でもあった🎵しかしながら「今の生活で妻や息子をこのまま貧乏暮らしにしたくない」という思いも強かった🎵その為に日本の伝統芸能であるわら細工に新しい工夫を凝らして世界に発信できるようなものを作りたいといつも思っていた🎵
ある時親父は、学校から息子のことで担任の先生から呼ばれた❗あるちょっとした事件を巻き起こしたのである❗担任の先生に言わせると「息子さんが同級生の持っているゲーム機を壊した」というのでその同級生に謝り、ゲーム機を弁償して欲しいというのであった❗
親父は先生に対して「申し訳ございません、ゲーム機は弁償します」と謝った🎵それを聞いて息子は「向こうが悪いんだ、お前の家🏠ではゲームも買ってもらえないのか❗頭が尖って馬鹿になるぞと言ったんだ」親父は「こらっ」と叱った🎵
新しいゲーム機はいじめた同級生の元に贈られた❗その日の夕方、学校の帰りに仕事一筋だった親父が迎えに来て一緒に家🏠まで歩いて帰った❗息子が「お父さん」と言うと直ぐに「もう何も言うな、お前の気持ちは痛い😖💥程よく判っている」と答えて叱るどころか息子を労った🎵息子も「お父さんが仕事をほっぱらかし迎えに来るなんてよっぽどのことなんだ」と判っていた🎵
その晩のことだった❗息子は判らずにいたけど、お母さんから「昨夜、お父さんが大粒の涙で泣いていたの」と言われ、一番辛くてやるせない気持ちでいるのは親父なんだと思わせられた🎵
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