第2話 再会

恵蔵は息子の恵介におもちゃを買ってやることもなく、幼稚園にも行かせず恵介が小学生になると自分はろくに稼ぎもしないのに、恵介には「勉強しろ」といつも怒鳴っていた。 

  


目的は恵介が大きくなったら、恵介の給料で楽をしてもっと酒を飲みたいのだと恵介の眼からも見え見えであった。



内面のことは一言も言わず、物質的価値観だけで暮らしいる恵蔵でもあった。


恵介は無理やり父の目の前では、勉強をしなかった。


学校の授業は真面目に受けたものの家に帰っても宿題もしなければ夏休みも冬休みも勉強しなかった。


別に勉強が嫌いな訳でもなかった。


ただ、父親に勉強している姿を見せたくなかったのだ。



また、親子で喧嘩もした。


父の言っていることは、あまりにも打算的で内面のことを考えずに言うために恵介が説明すると自分が馬鹿にされたような気がしていつも始めに手を出すのは父の方であった。



また、父は警察には捕まらないものの結構、悪いこともした。


近所の人たちからもとばっちりが来るくらいだった。


それくらいだから、恵介にも恵介が知らないことを利用して悪いことを教えたり、やらせたりしていた。


そのために恵介は悪いことをしていたという気はなかったのは、事実だ。



学校でも恵介は、いじめを受けた。



小学生に入った頃に恵介はみんなと仲良くしよう、みんなと仲良くして楽しい学校生活を送りたかったが、クラスの女の子か「恵介君のお父さんてばかりなんだけよ、みんなで恵介君をいじめよう」という声で、女の前で格好つけたい男子が早速恵介に殴りかかってきた。



恵介も反抗して殴りかかろうとしたが、次々とクラスメートが大勢で殴りかかってきて、乱暴してきたために手には負えなかった。



毎日、掃除の時間になるといじめは続いた、10ヶ月は続いた。


いじめが終わったのは、担任の先生にばれそうになったときであった。


けど恵介は、父親に「親父のせいでいじめられた」とは、恵蔵に言わなかった。


クラスの女の担任の先生も良い人だったので、心配をかけたくなかった病気をしている母親への気遣いもあった。


この事実は恵介にとって深い心の傷となったが、優しさだけは常に持ち続けて生きた。



そんな折、恵介が小学三年生の秋に母親が退院することになり、3ヶ月の間だけだったが恵介と一緒に暮らすことができた。


待ちに待ったはの退院であった。


この日のために恵介もお母さんも頑張って生きてきたと言っても過言ではなかった。



嬉しい日々であった、しかしながら母親は恵介が家で勉強しないことに不満を持つようになった。


恵介の理由も知らず、勉強に関しては厳しい母親であった。


遊びの時は一緒におはじきとか、金のかからない、体力の使わない遊びで恵介と楽しんだ。



だが幸せもつかの間、冬になり寒さも増してきた頃母親の病気が悪化し、病院に戻らなければならなくなった。

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