お留守番

今日は太郎君が遊びに来るんだ。

 僕は初めて家に友達が来るのでワクワクしていた。

いつもは親がうるさくて友達を家に呼ぶなんて許してもらえないけど、なんと今日は二人で出張なんだって!

 帰ってくるのは明日の夕方。

 おかげで1人、自由な時間がたっぷりだ!

親から買ってもらっていたスマホで太郎君にラインする。

「今、両親でかけたから早くおいでよー」

「オッケー!スイッチ持っていくからな!」

すぐさま返事が来る。

 太郎君の家は歩いて5分ほどの距離なので、その間に自分の部屋の本棚やテレビ、ベッドなどの掃除をした。

ピンポーンーー


きた!

駆け足で玄関に向かうとそこには太郎君がニヤりとした顔で待っていた。

「今日はゲームしまくろうぜ!先月買ったばっかのヤツもあるからな!」

「やった!やろうやろう!」

準備していたお菓子とジュースを部屋に運んで速攻でテレビゲームを始めた。



「お。もうこんな時間か。そろそろ帰らないとな」

気づいたら3時間ほどやりこんでいた。

もう夜の9時になろうとしている。

「俺んちそろそろ親が帰ってくるからヤバいんだ!じゃあな!」

そういってそそくさと太郎君は帰ってしまった。

少し残念だったがしょうがない。

さっきまでにぎやかだったから少し物寂しくなっちゃった。

ラインで太郎君にメッセージを送る。

「今日はありがとう。俺、ボッチだから今から自分でご飯作らなきゃなんだよー。めんどくさーい。」

と言ってもレンジでチンするだけの簡単なご飯だったのですぐに作り終わって食べ始めた。


それから二十分後にスマホが震えた。

 どうやら太郎君から返事が来たようだ。

「いや兄ちゃんに作ってもらえよ。お前が料理とか危なすぎだろ(笑)」

そりゃ優しい兄でもいたら作ってもらうにきまってるじゃん。

「そんな優しい兄弟がいればな!それか太郎君が作ってくれればよかったのにさ(笑)」

少し皮肉交じりに返してやった。

その時ーー


ジャーーーー

あれ?トイレが勝手に流れてる?自動水洗だから誤作動かな?と思っていたら


ブルブルーー

太郎君から返事が来たようだ。

 ラインにはこう書かれていた。


「帰りに玄関でリビングから顔出してた奴、アレ兄ちゃんだろ?」


僕は走って家を飛び出した。

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