同じプロットから小説を作るという企画の参加作。今回は「音楽(ブルーノート)」「喫茶店」「別れた恋人」がプロットの指定となっていて、青春ものの良作がたくさん公開されています。その中でもこの作品は、青春のままならさをブルーノートに見事にからめた傑作です。若い恋人同士のままならさ、音に表すと微妙に外れた感じの表現が文章にいきわたっています。おススメの一作です!
明子は、喫茶店で思い出していた。ゲーム音楽を流しながら絵を描いていた彼女の元に、ジャズを差し込んで現れた智昭のことを。作曲と絵画。それぞれ異なる二人の共通点は、「周りとのレベルの差」。お互いの違うものに触れ合うことで、二人は自分の芸術に向き合っていく。だが時は流れて、また明子は自分の絵に悩んでいた。そんな中、見つけたのは……。人は、他人を通して、自分の姿を見つめるのかもしれません。